第23話 血吸の暴食/暴飲暴食

第23話


浦島side


「〘召喚サモン矛盾アームドアーマー〙。」


そうアリスが唱えた瞬間、アリスの周囲にありとあらゆる武器が創造される。


そして、その武器が彼女を覆う様に融合していき、彼女を守る鎧へと変化していく。


武器なのに防具とか、矛盾してるなぁ………


「相変わらずカッコいいな、その鎧。」

「便利だし、勇者様が教えてくれた仮面ラ◯ダーみたいだし、気に入ってる。」


そういや、仮面ラ◯ダーはまだやってるのだろうか?


やってたら、もう1世紀以上も続いてる事になるな………


『談笑してるんじゃねぇぞ!!』

「煩い雑魚だな、〘4重加速クアドラプル・ブースト〙!」

『無駄だ!』


まっ、また邪魔しに来るよな………


「この聖魔剣に防御は悪手だぞ!!」

『なっ!?』

『な、何で────』


加速して放った一閃は、防ごうとしたモンスターさえもぶった斬り、確実に狙った物の命を断ち斬っていく。


「この剣は特別製でな。彼処に居るアリス戦士リン賢者が造ってくれたんだが、とんだ欠陥品でな!」

『ふっ、剣を投げるなど奪ってくれと言ってる様な物だぞ!』

「それはそれを使える前提の話だろうが!!」

『ぎゃあああ!!??お、俺の腕がぁぁ!!』

「煩いなぁ、もう。それ位で騒ぐなよ。」


俺が投げた剣を掴み取ろうとしたモンスターの腕が一瞬でミイラになっていく。


それ所か、少しずつ他の所もミイラになりかけていた。


『くっ、何なんだこの剣は!』

「おいおい、丁寧に扱えよ。」


奴が投げ捨てた剣を回収しながら、そうボヤく。


全く、剣の扱いがなってねぇな………


俺は剣の腕がなってねぇけど………


────やめよう、無駄に傷付くだけだな。


『一体、何なんだこの剣は!?』

「これか?コレは血吸の暴食ブラッティ・グラトニーっていう聖魔剣でな。所謂、祝福された呪われた武器なんだ。」


俺の為の、俺だけにしか使えない、俺以外に使われる事がない様に願われた彼女達の特製品だ。


正直、目茶苦茶重い。


籠められた思いも、デメリットも………


「コイツの特性は至極簡単。触れた物のエネルギーを吸い取り、全てを叩き斬る力に変える。唯、それだけの剣だ。」

『巫山戯るな!なら、何で俺の腕がミイラになんか………まさか!?』

「触れた物って言ったろ?普通に柄の部分もガンガンエネルギーを搾り取ってくるんだって、この剣………」


マジでキツいのよね、コレ………


握ってる間、マジで美味しそうに俺の体力と魔力を搾り取ってくるんだぞ?


俺じゃなかったら、何人死なせた事か………


俺専用の武器を作る為とはいえ、何でこんな剣を造ったんだろうな、アイツ等………


「さぁ、次はどいつから斬られたい?」


☆☆☆☆☆


アリスside


「私達の剣を使って暴れてる勇者様、やっぱりカッコいい。」


命を搾り取られながら、何も無い様に戦う姿を久し振りに見たけど、あの姿こそが勇者様だ。


武器の使い方も、魔法も、回復や防御も、全てにおいて勇者様は私達パーティーのメンバーに負けていた。


それでも、何時だってあの人は常に前へと進み続けた。


だからこそ、私達は────


『余所見をするな!!』

「ちっ、邪魔しないでよ。今私は勇者様に見惚れてる途中なのに!!〘銃撃蹴撃波バレット・インパクト〙!!!」


無粋な真似をしてくる奴に蹴りと銃弾を放つ。


全く、空気の読めない愚か者どもめ………


「これから貴方達が挑むのは、ありとあらゆる武器が眠る人間武器庫。勇者様観察を邪魔した恨み、その身をもって償うが良い!」

『逆ギレするのはやめろ!戦いで襲うのは当然だろうが!!』

「─────問答無用!」

『せめて、言い返せよ!!』


煩い、モンスターの戯言など、耳を傾ける価値すらない。


「〘設定全認証システム・オールクリア〙………」


方位角固定、対処全ロック、後は全てをぶちかますだけ!


「〘暴飲暴食タイラント・グラトニー〙!!」


使える武器の中で銃火器だけを選び、その場に居る全てへと一斉砲火する。


さぁ、全てを殺し尽くせ!


そして、私達の糧になってくれ!!


『ぎゃあああ!!』


ああ、モンスターの悲鳴が聞こえてくる。


断末魔とは本当に淫靡な声だ。


クラシックコンサートや、ロックフェスですら、こんな体験は出来やしない。


『うん、焦げる血肉の匂いも良くなった。』


美味しそうだなぁ、少し味見してみたい。


ちょっと、ちょっとだけ、つまみ食いしても良いよね?


いただきま〜す♪


「おい、アリス!此方にも飛んできて、蜂の巣になりかけたんだけど!?」

「はっ!!あっ、ごめん。でも、治るから大丈夫でしょ?」

「治るけどもだ!!」


ふぅ、このまま異世界の時みたいにモンスターを口にする所だった。


ありがとう、勇者様。


でも、お預けなのは許せないなぁ………


『ふ、ふざけやがって、このアマ………』

「へぇ、耐えられる奴も居るんだね。なら、私の八つ当たりにもう少し付き合ってくれるかな?」

『ほざくのも大概にしろ!!』


ふふ、お前はどんな肉塊になってくれるのかな?


続く

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