異世界に召喚され帰還した元勇者、帰還したら50年も経ってて浦島った上に現実世界もファンタジーに侵食されてた件〜しかも、いつの間にかダンジョンの番人扱いまでされてるオマケ付き〜
第15話 知らなかったのか?人間からは逃げられない
第15話 知らなかったのか?人間からは逃げられない
第15話
浦島side
「うわぁ、虐めてんなぁ………」
「す、凄い。赤子みたいにあしらい続けてるよ、
まぁ、月ちゃんレベルなら凄く映るか。
アイツ、ちょっと遊んでるだけなんだろうけどな………
「しかし、よく無事だったな。アイツ、狡い装備しかしてなかったろう?」
「………はい。顔は認識できないし、姿も消せるしで大変でした。浦島さん達が来なければどうなってたか………」
「アイツのネックレスは蛟真珠だな。顔や身体、声とかの認識をずらすアイテムだが、基本的には役に立たん。」
「そうなんですか?」
「ブレたりずらされるだけで、身体の軸が無くなってる訳じゃないしな。面倒なら広範囲にブッパすれば良い。それに格上には全く効かないからな。」
「へぇ〜勉強になります………」
ちなみに、蛟真珠とは深層第5階層にて雑魚すぎて絶滅寸前な蜃という蛤から取れる真珠だ。
「後、アイツが着ている服はハイドエレファントの毛皮製だな。気配と姿を透明にできる象さんのモンスターなんだが………」
「なんだが?」
「アイツ、綺麗に隠れ過ぎるんだよな。だから、隠れた所で直ぐに見つけられる。」
「………浦島さん、私の曾祖母ちゃんと同じ事を言うんですね。」
へぇ、その曾祖母ちゃんとやらは強いな、多分。
まぁ、深層に潜るなら出来て当たり前の技術だけどさ。
「ハイドエレファントの隠密はな、ありとあらゆる情報を過剰なまでに隠し切る。そのせいで、周囲の気配に混じる事がなく、まるで虚空な穴が空いてるみたいな感じになる。だから、深層の第1階層だと他のモンスターにすら直ぐに見つかってボコられてる可哀想な奴なんだよね………」
おそらく、下衆野郎であるあの男がイキるには充分な装備なんだろうけど………
「まっ、相手が悪かったな。ほら、めっちゃボコボコにされてる。」
「うわぁ、凄い光景………」
「コレ、配信に映して良いの?」
「基本的に命懸けの撮影なので、コレ位なら大丈夫ですよ。もっとグロいシーンが撮れちゃう事もありますし………」
ボコボコに顔や身体が変形する程に殴られて血塗れなんだが、それでも大丈夫なのか。ちょっと基準が知りたくなってきたわ………
「凄いラッシュでしたね、一撃一撃にちゃんと殺意が籠もってました。」
「ジ◯ジョみたいだよな、アレ。」
「ジョ◯ョ?古い漫画知ってるんですね。」
「グフッ!?」
「大丈夫ですか、浦島さん!?もしかして、まだ瘴気に侵されて!?」
「いや、ちょっと致命傷を受けただけだ。」
「またですか!!??」
まさか、連日でジェネレーションギャップ攻撃を喰らうとはな………
☆☆☆☆☆
人間side
『うわぁ、可哀想。ジェネレーションギャップはキツイよね、うん。』
僕もちょっとだけ心に響いたよ、悪い意味でね………
「ウッ………」
『おや、まだ生きてるのかい?』
地味にしぶといね、コイツ。
まぁ、下層でも割と行けそうな位っぽいし、妥当な感じなのかな?
────よし、良い事を思い付いた。
『コレを使いなよ、下衆野郎。』
僕は懐から取り出したポーションをコイツにかけてあげる。
すると、あら不思議♪
怪我がみるみる内に治っていくではないか!
後ろの方から「おい、
僕の家にコレを落とした彼が悪いんだよ。
『治った?治ったなら、早く逃げるといい。
ブルブルと負け犬の様な背中を晒しながら、僕に一生怯えてね♪』
そう耳元で囁いてあげると、彼は怒りで拳をプルプル震わせながら、一目散に逃げ出していく。
私はその姿を見届けながら、土蜘蛛を消していく。
もう彼等は必要ないからね………
「あの………」
『おや、何だい月ちゃん?』
「逃がして良かったんですか?」
『ふふ、大丈夫だよ。』
それにね、勘違いをしてるよ。
私は絶対に彼を逃がすつもりはないんだよ?
「自業自得とはいえ、お前も大概趣味が悪いな。」
「え?」
『褒めてくれてありがとう♪それに、罪から逃げるのが悪いんだ、僕は悪くないよ。』
「そういう風に誘導した癖に。」
「どういう事なんですか、浦島さん?」
「奴はこのダンジョンから悪認定された。コイツが現れる前から、このダンジョン内から出れる手段が無くなってるんだよ。」
『ふふ、滑稽だよね。どうして、そう都合好く考えられるんだろうね?』
────本当に可哀想。
まぁ、せいぜい罪を償うんだね。
『さぁ、後は頼んだよ浦島君。
続く
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます