第8話 第2層 魔物居住区
第8話
「お〜い、雲外鏡!野球しようぜ!」
月ちゃんと別れた後、俺は急いで深層の第2層へ来ていた。
このエリアには色んな居住区が広がる街の様になっており、様々な建築物が建っている。
物は全く卸されてないが、一応コンビニみたいなのも在る。
「仕方ない、中に入るか………」
近くに建ってあった和風の住居に入る。
────その瞬間!
「ちっ、今回は迷い家タイプか!」
このエリアは街自体にはモンスターが出現する事は決してない。
だが、建ってある住居に入った瞬間、モンスター達は姿を現す。
しかも、住居の内部も外見からでは判断できない構造へと変化していくのだ。
今回は人の方向感覚や重力を惑わず迷い家タイプで、和風の住居に多い厄介な構造だ。
「最初は住める場所が楽に見つかったって、ウッキウキだったんだけどな………」
こんな場所、流石に住むのは無理だった。
というか、道具を設置しても1日置きに場所が変化するので、マジでキツい。
家なのに住むのに向いてないド三流な建築物しか無いのだ、此処は………
「はてさて、何処に居るかね………」
目的の物を探す間にもモンスターは容赦なく襲ってくる。
和風の住居で出てくるのは昔ながらの妖怪達が多い。
「おお、久し振りだな目目連。また目を潰されたいみたいだな!」
『ミギィ!?』
「って、家鳴りも居るじゃねぇか!揺らされる前に【
『『『ピギャァ!?』』』
「ちっ、居ないな。逃げてるのか?………おっ、お前は!?」
俺が探してる奴と似たような気配がしてきたので、一気に突っ込む。
だが、其処に居たのは………
「何だ、鏡爺に天井さがりか………」
爺さんと天井にぶら下がってるオッサンが一杯交わしていた。
どういう光景だよ、コレ………
「邪魔したな………」
こういうのはスルーに限る。
どうせ、酒が飲み終わるまではアイツ等も襲ってこないだろうし………
「ん?今度こそ、アイツか!!」
やっとアイツ自身の気配を掴んだ!
もう逃さないからな、お前!!
「其処だろ、雲外鏡!」
『い、いやぁ、何で追いかけてくるの、浦島さん!?』
「お前に用があるからだよ!!」
お前さんにしか頼めそうにないからな!
『嫌な予感しかしないんだけど!?』
「そんな訳ないだろ!それに、断ったら最後の手段に出るぞ!!」
『最後の手段!?』
「ああ、この深層で取れる特製岩塩でな!」
『も、もしかして………』
雲外鏡の顔が真っ青になる。
ふふ、どうやら察しは良いみたいだな………
「お前を完膚無きまでに錆びさせてやる!!」
『錆びるの嫌ぁ!!!』
あ、アイツ、止まる所か、更に遠くへ逃げ始めやがった!?
「巫山戯んな!お前を錆びさせるだけじゃなくて、此処にある鏡を全部割っていってやるぞ、コラァ!!」
『そ、そんな殺生な!?』
「いや、お互いいつもやってる事じゃねぇかな、それ。」
『それはそう!』
まぁ、俺達は人とモンスターだからな………
基本的に殺すか殺されるかだ………
「クソっ、いい加減止まれや!!」
『嫌です!!』
はぁ、もう面倒だ!付き合ってられんわ!!
『はっ、この魔力反応!?まさか!!??』
「お前の想像通りだ!〘
『ぐへっ!?』
身体強化魔法で一気に加速し、雲外鏡を捕まえる。
ちょっと加速し過ぎたせいで何枚か壁をぶち破ったが、まぁご愛嬌だろう。
放っておけば、一週間くらいで直るしな。
「やっと捕まえたぜ、雲外鏡。さぁ、俺の頼みを聞いてもらおうか?」
『ひゃ、ひゃい。』
続く
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