第7話 少女との別れ

第7話


「さて、あと少しで下層から深層への入口に着く。お前さんの強さじゃ下層も厳しいだろう?中層まで送っていくよ。」

「えっ、本当ですか!?重ね重ね、本当にありがとうございます!」

「別に良いって。むしろ、俺も久し振りに人と喋れるのを楽しんでたからな。」


会話はやはり楽しい物だ。


深層だと、異世界語かモンスター語の会話しか出来なかったからなぁ………


「あれ?そう言えば、あのドローンは?」


─────やらかした。


俺の家に置いてきちまったぞ、あのドローン!?


どうしよう、また取りに行くか?


「ドローンですか?大丈夫ですよ。」

「えっ?」

「あの子、特別製なんです。もし、私とはぐれちゃった時は数分位で………あっ、来ました♪」


彼女が指差した方向を見ると、確かにあのドローンが居た。


おいおい、マジかよ………


の術式が刻み込まれてるんだな、あのドローン………


贅沢な使い方過ぎないか!?


それよりも、外にこんな事が出来る実力者が居るとはなぁ………


「凄いなぁ、本当。コレを使ってアイチューバーやってるのかい?」

「え?」

「え?」


俺、何か変な事を言っちゃったか?


「アイチューバーって古過ぎますよ、浦島さん。私はDダンジョンチューバーですよ?」

「そ、そうか………すまん、色々と世情に疎くてな…………」


そ、そうかぁ、ふ、古いのかぁ………


これがジェネレーションギャップによるダメージか………結構効くな、コレ。


「そ、それはそれとして、動いてるって事はこのドローンは今も撮ってるのかい、コレ?」

「えっ、ちょっと待ってくださいね………」


と、ドローンや取り出したタブレットらしき物(先程の件から違うかも?)を交互に見始める彼女。


何か色々と面倒そうだな、アレ………


「す、すみません。コレ、持ち帰って確認しないとよく理解わかりませんね。」

「そっか。じゃあ、しょうがねぇな。」


まぁ、俺的には恥ずかしいから顔さえ映ってなければ良いんだけどさ………


☆☆☆☆☆


「ふぅ、やっと着いたな。」

「やったぁ!」


あの後はあまりモンスターに襲われず、順著に中層まで辿り着く事が出来た。


まぁ、下層の雑魚達は普通に俺の事を恐れて逃げるからな………


襲ってくるのは命知らずの馬鹿な奴等だ。


「ありがとうございます、浦島さん!此処からなら、私1人でも帰れます!」

「どういたしまして。じゃあ、気を付けて帰るんだな!」


そう告げて、深層へと帰ろうとした俺………


しかし………


「どうしたんだい、お嬢ちゃん?」


何故か、彼女が俺の服の裾を掴んで止めてきた。


まだ、何かあるのか?


「あ、あの、わ、私………」

「私?」

「わ、私はDチューバーの鏡花水月ってグループに所属しているルナって言います!ぜひ、覚えていてください!何なら、私達の配信も見てください!」


ふふ、そういう事か………


商魂たくましいね、君………


────嫌いじゃないよ、俺は。


「おう!ちゃんと見てみる事にするよ、ルナちゃん。元気でな!」

「ありがとうございます!」


と、彼女は再び感謝をし、去っていった。


元気で良い子だったな………


「それはそれとして、どうするかね?」


俺、配信とか見る道具ないんだね………


一応、使えなくなった超旧式のスマホがアイテムボックスに在った筈だけども………


「う〜ん…………そうだ!」


良い事を考えちゃったぞ、俺♪

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