第9話 かなりズルい視聴方法
第9話
『で、出来たぞ、浦島さん!』
「良くやったな、雲外鏡!」
俺は捕まえた雲外鏡にある物を作って貰っていた。
まぁ、雲外鏡は鏡の
だから、何を作っているのかというと………
『ふぅ、こんな大きな鏡を作ったのは久し振りだよ………』
「だろうな。というか、昔俺と戦った時よりも大きくねぇか?」
『うっ、嫌な思い出を掘り返さないでよ。確かにそうかもしれないけどさぁ………』
この第2階層は特殊な仕組みになっている。
この階層で死んだモンスターは、住居と同じ様に時間が経てば復活するのだ。
なので、毎回戦うモンスターは同一存在なのだ。
だからこそ、馬鹿な雑魚達以外は雲外鏡の様に全力で逃げてしまう事もあるのだが………
ちなみに、そんな仕様なのはこの層のボスの影響だそうだ。
アイツ、色んな意味で不死身だしな………
『で、こんな鏡を作らせて何がしたいの?』
「お前、ダンジョンの外の景色も映せるんだったよな、確か?」
『え、うん、それ位なら簡単だけど、それがどうしたの?もしかして、世界一カッコいい男を殺しに行くの?』
「誰が白雪姫の王妃様の男バージョンだって?」
『ヒィ!?ご、ごめんなさい!!』
誰がそんなくだらない事をするんだよ………
というか、そんな事をしそうな奴に見えてるのか?
後でオハナシしなきゃな………
「────おっほん。まぁ、色々あってな。外のとある光景が見たくなってな。」
『どんな光景を?』
「それはな………」
えっと、確か鏡花水月の
「鏡花水月の
『動画?………ああ、人が作り出した現実を切り取れる絵物語だね。ちょっと待ってね、やってみるよ。』
雲外鏡が鏡に向かって何かを念じ始める。
すると、まるでテレビのチャンネルを替えるかの様に映す物が替わり始めた。
いつ見ても凄いなぁ、コレ………
『う〜ん、多分コレかな?』
「どれどれ………」
鏡を見ると、確かにあの時助けた
それに、ちゃんと動画のチャットとかも見れる様だ。
まぁ、どういう仕様なのかは全く
「良くやった!コレで約束通り、彼女の動画が見れるな。」
『コレ、見てて楽しいの?』
「さぁ?まぁ、お手並み拝見といこうぜ、雲外鏡?」
『えっ、私も見るの?』
「お前が居ないと、微調整とかも出来ないだろうが。」
何を言ってるんだ、コイツ?
『そういう事かぁ………アレ?皆、何してるんだろう?』
「どうかしたか、雲外鏡?」
『嫌、皆が此方に向かってるみたいなの。敵意は無いみたいだし、何のつもりだろう?』
『それはね、僕が誘ったからさ。』
『きゃっ!?』
雲外鏡が疑問を吐露した瞬間、背後に気配が現れる。
思わずひっくり返りそうになるコイツを支え、元凶を睨み付ける。
相変わらずだな、お前も………
「何をしに来た、
『さて、何をしに来たのでしょう?』
コイツは
「やる気か?」
『おっと、それは今回はお預けだよ。君が面白そうな事をしてたからね、皆を呼んで一緒に楽しもうかなって♪』
何だ、そんな事かよ………
はぁ、警戒して損したわ。
「じゃあ、一緒に見るか。」
『うん♪あっ、折角だし、お酒持ってきてあげたよ?』
「ありがとう!本当に最高だよ、お前!!愛してるぜ、
『僕もだよ♪』
こうして、何故かモンスター達と見る謎のDチューバーとやらの鑑賞会が始まった。
いやはや、彼女がどんな事をやってるのか、楽しみだなぁ………
続く
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