第2話 運命の雫が君にそっと振り降りた時

第2話


「ふわぁ、朝か………」


ダンジョン住まいの朝は早い。


正確に言うと、色々あって午前5時くらいに起きる身体になってしまったのだが、詳細は此処では省かせてもらおう………


何事も全部話していてはつまらないだろうからな………


いや、でも、やっぱり、話そうかな………


「いや、誰にだよ………」


最近、独り言も変な思考をしてしまう事が増えた気がする………


これも独り暮らし(inダンジョン)の弊害かぁ………


いや、独り言に関しちゃ昔からか………


よく幼馴染にも指摘されてたしな……


「でも、昔より増えてるし、俺も歳を取ったって事なのかねぇ………」


俺が異世界に勇者として呼ばれたのが15歳で、帰ってこれたのが20歳の時、それから10年くらいは籠もってるから、今の俺は30歳の立派なアラサーだ。


「俺もうだつの上がらないオジサンの仲間入りかぁ………」


なら、俺と一緒に帰ってきたあの少女も立派な成人になってるだろうな………


あの子なら大丈夫だとは思うが、ちゃんと生活できてるのだろうか………?


────案外、凄い事を成し遂げてるかもしれない。


☆☆☆☆☆


「ふぅ、ごちそうさまでした。」


いやぁ、ロック鳥の卵で作る目玉焼きはいつ食べても美味い。


まぁ、めちゃくちゃ大きすぎて、コレを作ると他の料理が要らなくなるのがたまに傷だな………


「それに他の食料が足りなくなってきたな、補充しに行くか?」


今日は下層と深層のどっちに行こう?


う〜ん………


「今日は下層の方に行くか!」


何の肉を狩ろうか?


キングアルミラージの兎肉にするか?


いや、ハネアリハネナシワイバーンの竜肉も捨てがたいな。


王道のプリミティブコカトリスの鶏肉も良い気がする。


「いやぁ〜何にしようかな………」

『『『『『キィー!』』』』』


呑気にそんな事を考えていると、周囲から煩い鳴き声が騒ぎ始める。


はぁ、お前らかよ………


『『『『『キキィ、キィ!!』』』』』


目の前には大量のプテラノドンみたいな魔物が俺を大量に取り囲んで居た。


コイツ、煩いから苦手なんだよな………


頭や羽からウザったい斬撃飛ばしてくるし、1匹見たら100匹くらい現れるし……


ん?待てよ………


「よし、折角だ。今日はにするとしようか!」


数が居るんなら、色んな料理や保存食が作れるな!


普段なら面倒だが、今日はラッキーだ!


(ぁ〜〜〜〜〜〜!)


「────はぁ!?」


いや、嘘だろ!?


気の所為、気の所為だよな!?


(ゃぁ〜〜〜〜〜〜!!」


あっ、コレは駄目だ。


このパターンは間違いない。


「きゃあ〜〜〜誰か助けて、死ぬ!!!」


ダンジョンの天井から、誰かが悲鳴をあげて降ってくる。


間違いない、人間だ。


こんな所に来たという事は探索者なのだろう。


しかも、若い女の子だ。


その若さでこんな所まで辿り着くとは将来有望だな………


でも、まぁ………


「まだ、このレベルは早いだろ。」


────仕方ない、助けるか。


続く





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