第19話僕は逆境に立たされ、友達の大切さを知った

それから僕達は、水族館を出た。


「これから私の家に来る? お姉ちゃんが会いたがってるし。」

楓が言って僕は迷った。


女の子の家かー。初めて行くけど…緊張し過ぎて…でも行くべきだよな。


「へーそれは是非、俺達も一緒に行きたいねぇ。」

柄の悪そうな二人組が、楓に言った。


「ちょっと違う場所行こうか?」楓が、二人組を無視して言った。僕は頷いた。


「あらー無視は酷いんじゃない? それはそうと、男の方にも用があんだ。なぁお前佐藤って知ってるだろ? ちょっとツラかせや。」


なるほど佐藤に頼まれたのか。これはまずいかもしれない。


楓に何かされたらと思うと、この人達に従うしかないと思った。


「分かりました。でも、楓は、佐藤さんの件とは、関係ないので、僕1人で良いですよね?」


「ほー彼氏勇敢だねぇ。けど、そんなの俺たちが聞いてあげる必要ないだろ? 彼女も、一緒に来なきゃ駄目に決まってんだろ?」

男の人が脅す口調で言った。


「そんなの聞く必要ないよ、一ノ瀬君。あなた達、監視カメラもあるし、人も見てるんだから、変なことしてたら、あなた達も無事じゃ済まないよ。」

楓が、彼らに怯まず、はっきりと言った。



強いな楓。けど、この状況で彼らを、怒らせたりしないか? 少し危険な言い方だと僕は思った。



「ひゅー怖いねぇ、彼女。けど、俺たちのこと心配してくれてんのかな。別に俺ら、警察に捕まっても良いんだよね。」


そう言って彼等は、僕の襟元を掴んで、僕を殴った。



「きゃー、一ノ瀬君。」

殴られて、地面についた僕に、心配そうに彼女が寄り添って言う。


「言うこと聞かないと、彼氏君どうなるかな?」

彼等は、笑顔で言う。


絶対絶命だ。


「逃げろ、楓!」僕はそう彼女に言った。


「無理、一ノ瀬君置いて逃げれないよ。」

 彼女が泣きそうな表情で言う。


「だってよ、彼氏君良かったなー。じゃあ彼女、俺たちの言うことに従ってもらうよ?」

そう言われた楓は、表情が恐怖に引き攣っていた。


くっそ、せっかくのデートが、なんでこんな…僕はつらい気持ちでいっぱいになった。そして、弱い自分を責めた。


彼女を守ってやれる力があれば。


「分かりました。けど、一ノ瀬君には、暴力振るわないって約束出来るなら。」

楓が気丈に振る舞う。しかし身体は震えていた。


その時パトカーのサイレンが聞こえた。


「僕が警察に通報したので、今駆けつけたので、あなた方は、もうお終いです。」

そう言ったのは、僕の友達、小早川だった。


彼に助けられた。


「ありがとう小早川、助かった。」そう僕はお礼を言った。



「ちぃ、連れがいたのか。覚えてろ。」そう捨て台詞「吐いて彼等は去った。


「ふぅ、怖かった。逆上して、刺されたらどうしようかと思ったけど、2人が無事で良かった。

小早川が言った。


「ありがとう、小早川君。」楓が彼の手を握って言った。


それを見て僕は、申し訳なかったけど、彼に嫉妬した。

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