第16話僕は水族館に行く

そしてその日が来た。


ふふ、僕は1時間早く来た。はは、楽しみ過ぎて、顔がにやけてしまう。


ちょうど良い天気だ。僕と楓のデート日和だね。


ふぅ…やっぱり緊張するなぁ。


僕はスマホを取り出し、WEB小説を読んだ。


面白くて集中した。


「一ノ瀬君…ねぇ返事して。」


「ああっ…ごめん、集中して気が付かなかった。」


「何見てたの? 女の子とのチャットじゃないよね?」


彼女が口を尖らせて言った。


「違うよ、WEB小説を読んでて、ちょっと早く来たからさ。」


「そっかまだ、30分前だしね。一ノ瀬君読書好きだもんね。」


楓も早いな、偉い。


「うん、さすがに女の子と待ち合わせで違う子とチャットするほど無神経じゃないよ、安心して。」


軽いジョークなのだろうけど、僕は、それとして、彼女一筋だと言うことを暗に教えた。


さて小早川は、いつ来るかな。


「ふふ、安心した。一ノ瀬君が真面目な優しい人って実感する。」


「今日は、一段と一ノ瀬君がカッコよく見えるよ。」

そう彼女は、僕を褒めてくれた。他の子は、冴えないやつと言う。


「ありがとう、楓にそう言ってもらえて嬉しいよ。」


「今日の楓は、いつも以上にかっ…かわい…いよ。」カミカミながら、そう僕は言った。

彼女の白いアウターと緑のロングスカートがマッチしている。


「ありがとう、一ノ瀬君。照れてるのかな、可愛い」

そう言って彼女が僕のほっぺを人差しで軽く叩いた。



ああー僕は溶けてしまいそう。楓に溶かされてしまう。僕は、柄にもなくそう思った。

ふぅ、僕と言う存在が、彼女の前では、腑抜けてしまう。



しかし…今日は、デート。しっかり彼女をリードしないといけない。そう気合を入れた。



「うん、恥ずかしいけど、そう。」

照れながら頭を掻いた。


「一ノ瀬君、本当に素直だね。でも、最初の頃にあった頃は、結構捻くれてたよね?」


確かにそうでした。僕は彼女に同意した。


「うん、そうだね。楓のおかげで、素直になれたし、捻くれた性格も、少しずつ治ってきた気がするよ。」


「それはいいことね! 一ノ瀬君の力になれたみたいでなにより。」


「うん、ありがとう、感謝してる。」

僕は心から言った。


「改まって言われると、照れるね。うん、こちらこそありがとう。」


「はは、確かになんだか、照れる。」僕も彼女に言う。


照れ臭いので、話題を変えようかな。


「そう言えば楓、この前の話なんだけど。」



「お待たせしました。」小早川が来た。


「小早川君、こんにちは。」


「この前の話って何かな?」


「ああ、うん、それはまた後で。小早川よろしく。」


「2人とも、今日はよろしくお願いします。」


デートだから、彼は離れてくれるようだから、僕は2人きりであることに変わらない。

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