第12話僕は楓に相談した。

先生は証拠がないから、何も出来ないって。勇人君は、僕とは、友達になってくれないから。


頼むよ、僕と友達になってくれ。

彼は懇願する様に言う。



勇人が友達にならないのに、なんで僕なら、なってくれると思ったの?


僕なら、友達になるに決まってる。そう見下した?


いや、僕はただ…君と友達になりたいと思って。見下したりじゃないよ。



うーん、そもそも進学校でいじめなんて、ほとんどないって聞いたけどなぁ。

だから僕も入ったんだ。先生何もしないなんて、そんな事ある?

と僕は、頭で色々考えを巡らした。


どうしたら、友達になるのを拒否出来るか?

とりあえず、保留にして、楓に相談してみようかな。


それが一番良い方法かな。僕はそう思った。


分かった、そこまで小早川が言うなら、ちょっと考えてみるよ。



ありがとう、返事待ってる。

彼はそう答え、お辞儀をして去った。



ふぅ…彼が助けを求めているが、どうなんだろう?

佐藤の罠だったり?


そりゃ僕も助けてやりたいとは思わなくはない。



さて、やっと教室に入れる。もう誰も話しかけるなオーラを出して、入って行った。


おはよう、楓。僕は彼女に笑顔で挨拶した。



おはよう一ノ瀬君遅かったね。女の子を待たせるなんて。彼女は笑って言う。


うん、まぁ色々あって、その事で相談もしたくて。


そう?

さっき一ノ瀬君友達になんとかって言われて怒鳴られてたでしょ?


大丈夫だった?


うん、大丈夫。心配してくれてありがとう。彼が友達になりたいって言って来て、でもそれは…いじめから、救って欲しいからみたい。

僕は楓にそう説明した。


そうなの?

いじめか…一ノ瀬君はどうしたいの?

彼を救ってあげたい?

私は彼を救ってあげるような、一ノ瀬君が好きだけど、巻き込まれて、一ノ瀬君が傷つくのも嫌かな。


うーん、ああ言う人は救ってくれるのが当たり前と思って、対して努力しない気もする。そう思うのは、本の影響かな。


そう言う人を救って、僕を道具にして、かえって威張るんじゃないか。


僕はそれを危惧していた。


もちろん楓の前で救いたい彼を…とカッコつければ良いのだけど。


現実問題、難しいんだ。彼が僕と、勇人を使って逆にいじめを佐藤にするかもしれない。


そう、僕は小早川について何も知らないんだと思った。


正直に言うか。僕は巻き込まれても、気にしない。けど、友達の勇人や、楓を巻き込みたくない。


彼を救いたいかも、彼のこと知らないから、それも微妙なんだ。


一ノ瀬君悩んでるんだね。自分は巻き込まれるのは、いいなんて、もっと自分を大切にしてね。


そうね、まずは、小早川君ともっと話してみるとか?


彼の考えや、気持ちを知ることがまず、大事だと思う。


さすが楓だ。僕は彼女にお礼を言い、彼女の意見通りにする事にした。


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