第11話僕は友達になるのを拒否した。
彼が友達ならもういじめられることを、恐れる必要はない。
なんて頼りになる友達だろう。
僕はそう思ったが…でもそれって、友達なんだろうか?
また一つある考えが浮かんだ。
それは、友達というより、用心棒の様なものではないかと。
僕は彼を頼りにして過ぎて、駄目な大人になるのでは、と思った。
そうだ、本当の友達なら、僕は彼にこう言うだろう。
ありがとう、助かったよ。もし勇人に何か困ったことあったら、僕で良ければ、手伝うよ。
そう彼に告げた。
おう!
その時はよろしくな。さすが一ノ瀬、友達になってよかったぜ。
彼はそう言ってくれた。
僕も同じ気持ちだ。心でそう呟いた。
じゃあまた。僕は楓と話がしたかったので、そうそうに話を切り上げようと思った。
おう、じゃあな。彼は立ち去った。
さて、僕は教室に踏み入れようとしていた。その時話しかけてきた人がいた。
すみません、さっき見てました。僕あの佐藤からいじめられてて、凄いです。東條さんと仲良いなんて。
誰?
僕は彼に聞いた。
小早川です。小早川秋斗。彼はそう答えた。
僕は名前を聞いたことを後悔した。どうせすぐ忘れるのに、聞いてしまった。そう思った。
そう、じゃあ。僕はそう言って、教室に踏み入れようとした。
待ってください!
あの、僕と友達になってくれませんか?
なんだと…友達。僕はそう心で言った。
確か佐藤にいじめられてて、困ってるって言ってた。うーんこれは、面倒だぞ。
正直なところ、彼を友達にしたら、勇人に迷惑かけそう。
僕は友達になることを拒否した。
悪いけど、君とは、友達にならない。
じゃあ。
彼に頭を下げて、教室に入ろうとした。
なんでだよ! なんで僕とは、友達にならないんだよ!
怒声が響いた。
う…やばい、変な子に絡まれた。佐藤より、小早川のが僕には怖かった。
こう言うタイプは、なんで僕を助けてくれないんだ?
そう逆恨みするタイプだと思ったからだ。佐藤より、僕を恨むタイプ。
楓と早く話したいのに…さてどうするか?
落ち着こう、とりあえず、なんでそもそも僕と友達になりたいの?
一応聞いてあげた。ただ、話だけ聞いてあげる事にしたのだ。友達になるのは、断固拒否するが。
うん、僕を助けて欲しいんだ。佐藤からさ。だけど、一ノ瀬君が凄い人だって思ったから、友達になりたいんだ。
あのさ、小早川、君が友達になりたいのは、勇人じゃないの?
そもそも、助けて欲しいなら、僕じゃなくて、先生に言うべきだよ。
僕は彼に助言をしてあげた。ふぅ、手間のかかると、心で愚痴った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます