第9話僕は喧嘩を売られた

うん、大胆かな。嫌なら離すよ。僕は呟いた。


嫌じゃないかな。嫌ならぺちって払うよ。楓がそう答えた。


ずっとこうしてたいなと、僕は思った。

でももうすぐ映画が終わる。


終わっちゃったね。


うん、終わっちゃった。僕はおうむ返しに答えた。


僕と彼女は、映画館を出た。


暗い中から一気に明るくなり、僕の目は一瞬痛みが走った。


また今度誘うね。今日はありがとう。

学校でまた会いましょう。楓が言った。


うん、ありがとう。なんだか…新しい世界みたいな、僕外出るのこんなに楽しいんだって、思えたよ。


ほんとに楓ありがとう。

僕は彼女に感謝を述べた。


一ノ瀬くんにそう言ってもらえて、なんだか、照れ臭い。彼女はそう言いながら鼻に手を当てた。


僕は彼女の可愛さに照れた。お互いに照れ臭いなと、僕は思った。



僕は楓とのデートのことを思い出していた。

そして…寝れない。興奮して寝れないのかな?


そんなことは、今までなかった。寝れなかったらどうしよ。


僕は楓とのデートのことを思い出していた。

そして…寝れない。興奮して寝れないのかな?


そんなことは、今までなかった。寝れなかったらどうしよ。


そして朝が来た。寝れなかった。うぅ、恋の副作用かな。と僕は呟いて思い出し笑いの様に笑顔になった。


学校に行く準備をして、いざ行こうと思った時音が鳴った。


一ノ瀬くん、おはよう。

昨日はありがとう。今日の学校もよろしくね。

とメッセージが届いた。


僕は有頂天になった。



こちらこそありがとう。今日学校で会えるの楽しみ。よろしくね。

とメッセージを送った。


僕は小刻みにステップしながら外に出た。


その姿を母が訝しげに見ていた。


でも、さすがにずっとこのまま行くのは、恥ずかしい。


そう思ってすぐに辞めた。



僕は学校の入り口に入り、楓の姿を想像していた。


すると、僕を引き止める人がいた。


おい、俺の楓さんとずいぶん仲良くしてるみたいだな。


誰ですか?


佐藤だ。お前、楓さんと昨日歩いてたの、仲間から聞いた。


佐藤さん? 何か僕になにかようですか?


うん、お前、楓さんにもう近寄るなって警告しに来た。


そんなこと何故、あなたに言われなきゃいけないんですか?


楓とどんな仲なんです?


お前、楓さんな。どんな仲か。深い仲だ。


ほんとに深い仲か、楓に聞いてみるよ?

僕はこの子の言うことに疑いを持った。


何故なら僕は楓を信じてるから。こんな子と深い仲だなんてあり得ない。そう思った。


おい、楓さんにちくってみろ。ただじゃおかない。いいか、黙ってろよ。


もし言いやがったら、学校に来るの地獄にしてやる。



なんだこの人…ずいぶん乱暴な人だな。


でも、僕は全く彼に恐怖を抱かない。


何故なら僕が怖いのは、父親だけだからだ。


そう…父親に比べたら彼なんて、なんでもない、騒がしいだけの人だ。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る