第5話3人目の友達

ありがとう一ノ瀬くん。彼女が微笑んで言う。



はぁ…女の子と喋るの慣れないと駄目だな。思った事なにも喋れない。


…ありがとう…か。お礼を言われるのは、悪い気はしない…むしろ…晴れやかな気持ちになる。そう僕は考えた。



それにしても…大袈裟だな。別に一回平手打ちくらっただけだ。そんなに感謝してもらわなくていい。


早く服選び終えてくれ。家に帰ってゴロゴロしたい。


なんで何も言わないの?

一ノ瀬くん?

麻美が聞いた。


きん…ちょうし…てうまくしゃ…べれない

詰まりながら言って恥ずかしくなる。



そうか〜そりゃ可愛い女の子2人に囲まれたら緊張するよね。

と麻美が笑って言った。




もう、出不精だからそうなるの。これからは、たまに私達と外に出て、遊びましょう。楓がそう僕に言う。


えー冗談じゃないよ。けど…一理ある。正直僕は…このままだと、将来大人になった時が心配に…なってきた。



女の子とこんな喋れないんじゃ…自分の情けなさに、泣きたくなる。



変わっていきたい。協力して欲しい。彼女達にそう僕は勇気をだして、そう伝えた。


うん、出不精克服だね。もちろん協力するよ。元々私を庇ってくれるぐらい勇気のある男の子なんだから、すぐ克服できるよ。楓が明るく言った。



私も協力するよ。麻美も言ってくれた。



ありがとう。僕は泣きながら2人に感謝した。


僕は人に興味がなかった。けど…人ってこんなに…温かいものなんだ。



それから2人にチャットのグループに誘われた。チャットならちゃんと喋れるから、助かった。


そして2日後教室に入ると、みんなが笑顔でこう言った。


おー! ヒーローのお出ましだ。聞いたよー橘さん庇ったんだって? かっこいい! 

とみんなが言う。



僕はそれに答えず、席に座った。

まずは、状況を確認だ。何故こうなった?

確かに庇ったんだけど、別の理由で庇ったんだよ。そう思うと顔が赤くなってくるのを感じた。



気まずさが押し寄せてくる。そこに僕に話しかけてきた、男子がいた。



こんにちは…って言うのもあれだけど、楓庇ったんだってな。格好いい君と是非友達に俺もしてくれないかな?


誰? と僕は言った。


ああ、俺東條勇人、麻美の彼氏だよ。


ああ〜麻美の。僕は彼氏に呼び捨てで呼ぶのはまずいかと思って、麻美さんのね。と言い直した。



おう、なってくれるよな?



これは面倒くさい、また友達が増えるなんて…正直なところ、もう友達はいらない。けど、断ったら女子としか友達にならないやつと、レッテルを貼られるかも?


そうすると、受け入れざれを得ない。

拒否権はなかった。



分かった、よろしく。と僕は言った。


おう! よろしくな。と彼は笑顔で言う。


こうして僕は、3人目の友達が出来た。



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