第3話僕は服屋に行く

それにしても…なんで僕の名前知ってたんだ?

楓は…全校生徒の名前把握してたのかな?



今度聞いてみるか。女子と話すのは緊張する。胃がキリキリしてくる。


授業が終わったし帰るかな。



ちょっと、待ちなさい。振り向くと楓がいた。


話しがあるって言ってたでしょ?


あぁ、なに話って?

冷たく言った。



うん、明日麻美と一緒に、洋服買いに行くんだけど、一ノ瀬くんも一緒に来ないかなと。



行かない、面倒くさいもん。


この私の誘いを断るなんて…やるわね。


出不精ってやつでしょ? でも外に出ないと干からびるからね。


はってでも連れてくから。一応友達記念で、一ノ瀬くんの服も買ってあげるわよ。



おかしいな…なんで友達だからってこんなにしつこく誘うんだろう?

まさか…僕に気がある?



いやいや、それはない。自意識過剰ってやつだ。

なら何故…ただの頭のおかしい子か?

よっぽど親切なバカな子か?


もう一つ考えられるのは、罠だ。これが1番可能性が高い。

そう考えた。



罠とか、罰ゲームとかじゃないよ?

と僕の考えを見透かすように言う。



あっ、やっぱりそう思ってたんだ?

考え事してるからさ。

一ノ瀬くんは、もっと自信持った方がいいよ。

と楓が言った。


私そういう卑怯な事はしないから、安心して、一緒に行こ?

楓が優しく言った。



まぁ…そこまで言うなら。僕は彼女の狙いが気になってしまった。確認するには、行くしかないだろう。


本物のお人好しかもしれないけど、しかし彼女に乗せられてる気もする。


ありがとう。じゃあ明日、よろしくお願いします。

一ノ瀬くんなら、忖度なく服選び手伝ってもらえそうだからね。と楓はそう言って去った。



まぁ…確かに忖度はしない。関心が無いからね。


どっちでもいい、さっさと決めて。本音はこうなるだろうけど…それも時間食うだろうから。


そして当日になった。

学校が休みの日だから、さっさと寝転がりたい。

やっぱりキャンセルしようかなと、考えた。



しかしお母さんにもう伝えてしまっていた。

今更だと叱られる。やむを得まい。行くか。



本屋とか図書館なら、良く行くから問題ないけど、服屋だと面倒って思ってしまう。


そもそもネットで買うし。



そう文句を頭で呟きながら彼女達が待つ、待ち合わせ場所に来た。



遅いね一ノ瀬くん。と言われてしまった。

じゃあ行こうと言われ、僕は彼女達についていく。


やばい緊張してきた。学校ならともかく、プライベートだと…これは、まずい。


ここだよ、一ノ瀬くん。楓が言った。


この服屋…値札を見て思わず、たっけ。と呟いた。


この子達…お嬢様か。だから言い返されたりしなかったのかな? と僕は考えた。


そして僕たちは服屋に入って行った。





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