第2話2人目の友達

ちょっと楓、そんなキモいやつに話かけない方がいいよ。

この女子の友達であろう女子が言った。


侮辱されたが、この絡んできた女子の名前が分かったのでよしとしよう。



いや麻美、私の友達侮辱しないでくれる?

と楓が言った。



ええーあんた! こんなやつと友達なの?

麻美が言う。



そうよ、友達になったの。

彼女が友達になったのだと改めて分かった。



なんで? どう言う事?

麻美とか言う女子が疑問に思うのも無理はない。僕も良く分からない。



私初めて、男子から言い返されたのよ。みんな私に素直な態度取ってたのに。やっぱり友達は、ちゃんと言ってくれる人じゃないと。

楓はそう説明して、僕も納得した。


なによそれ? あんたM気あるんじゃない?

麻美がそう言った。



僕は、ああ男子と浅い付き合いなんだね。と楓に言ってやった。


ほら〜麻美聞いた? こうやって言ってくれるのよ?

新鮮な感じ。と彼女はなぜか喜んでいた。

それは、楓の事全然知らないからじゃないの?


そんな事ないよね?

私のこと知ってるよね?


楓だろ?

と俺は言った。


ほら知ってるじゃん。



へー…じゃあ私は?



麻美だろ?

と無愛想に言った。


私のことも知ってるんだ。そっかそっか。



この子達バカかな?

さっき自分達で名前呼び合ってるから分かっただけだぞ。



そう思い僕は吹き出してしまった。

あははと声に出して笑った。



ふふふ…私と良いお友達になれそうね。


じゃ…楓の友達は私の友達だよ。


さっきはキモいって言ってごめん。私とも友達になってね。

と麻美が謝って言った。



はっ? どうやら僕は一瞬にして友達が2人も出来てしまった。何も僕してないのに…まじか。


返事ないけど…もしかして怒ってる?

麻美は不安そうに聞いた。


キモいって言ったことか。

キモいってほんとのことだから、怒ってないよ、大丈夫。と言うのが普通だろう。


だが僕はそんな事言わない。何故ならそう言えば、こいつには何を言ってもいいと思われて、いじめられる恐れがあるからだ。



舐められる訳にはいかない。かと言って、怒ってるよ。これは逆にいじめになる。


じゃあどう言うか。僕が1番言われて腹が立つことを言ってやる。



怒ってないけど、一度言った言葉は、取り消せないよ。言葉には気をつけたほうがいいよ。

僕はこう言った。



僕がこう言われたら、何様だってブチ切れて友達から離れるからだ。


そうだよね。ごめんなさい。気をつけます。と麻美は、僕の意図と反して素直に謝ってきた。


ぱちぱちと楓が拍手して、はい、これで仲直りだね。麻美にそう言えるなんて、一ノ瀬くん、かっこいいよ。と褒められてしまった。



ほんと、楓が言う通り。

なんだか、先生に注意されてるみたい。と麻美が言った。



でしょ〜凄く頭がいいよ。一ノ瀬くん。なんだかベタ褒めされてるが、僕はそんなつもりで言ったわけではなかった。



あっ、そろそろ授業始まるね、また後で。と楓が言って、自分の席に戻って行った。


じゃあまた。と麻美も席に座った。



なんだったんだ? やれやれ、面倒な事になったな。

頭良いか…初めて他人に言われたな。


男子に言い返された事ないってどんな理由でだろう?


友達になったやつと友達になろうとする意図はなんだろう?



ん?

何故僕は彼女達に興味が湧いているのだろう?

僕は他人には、全く興味なかったはずなのに。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る