スクールラブレイズ
タカユキ
第1話初めての友達
この中学校はそれなりの進学校だ。もちろんいじめなんてない。みんな真面目に勉強をしている。
なんの変哲もなく一年生の時が終わった。
2年に昇級しようが、そのまま何事もなく終わっていくだろう。そう思っていた…けどまさか自分が恋愛なんてするなんて。
恋愛とは程遠いほど、僕は陰気だ。なんの特徴もない見た目…勉強もほとんどしてないために、中途半端だ。何事も中途半端。
何かをやり通したことすらない。その記憶もない。それでも僕が進学校に入れたのは、なぜだろう?
他の人達も勉強してないのか?
ただ思い当たる節はある。それは本を読み漁っていたって事だ。
読書が趣味じゃなくて、ただ人と関わるのが嫌で、暇つぶしに腐るほど読んでいただけが。
一応進学校ならいじめが少なそうだから、入っておこう程度に考えていた。
おはよう。周りの声が挨拶で溢れた。
僕はもちろん挨拶なんてしない。極力関わらないように、ひっそりと空気のように、机に座る。
ちょっとあなた、私の挨拶無視したわね?
と机を叩く女子がいた。
勘弁してくれ、面倒くさいと思い、どうしたものか考えていた。
すみません。そう彼女の顔を見ずに、俯いて言った。
ほんとに悪いと思ってます? ちゃんと謝る時は、顔を見て謝るって教わらなかったの?
と彼女が説教をかましてきた。
ちっ、うるさい。と心で愚痴ったが、面と向かってそう言う事は、もちろん言えない。
僕は彼女の顔を見てすみません。と言ってすぐに視線を外した。
顔を見ればいいと思ってます?
心を込めて謝るって分かりません?
と彼女は再度謝罪を求めてきた。
なんだ…この女子? 誰か助けてくれ。と心で呟く。
僕の怒りのボルテージが上がってきた。僕にもプライドが残っていたのかと正直驚いた。やり過ごすためには、すみませんでした。次からは挨拶をします。と言えば済むだろう。
だが、それをしたら? あまりにも自分が情け無さで、毎日悔やむだろう。
絶対に嫌だ。僕は言い返してやることにした。
友達じゃないですよね? そんなみんなに挨拶なんてしてる暇あったら勉強した方がいいですよ?
僕は逆に説教してやった。これで更に怒られたら…もう完全にシカトするか。そう覚悟した。
中々言うじゃない、それも一理あるわね。なら、私と友達になれば挨拶するわね?
彼女は衝撃的な発言をした。
僕は鳩が豆鉄砲を食ったようなそんな状態に置かれた。聞き間違い…じゃないよな。
結構です。と拒否すればよかったが、そこまで言える人間なら、社交的な人間になれた。
はぁ…まぁ…そうですね。と答えるのが精一杯だった。それは怒りが薄まってしまい、言い返す気力が出てこなかったためだ。
そう? じゃあよろしく! 友達になったんだから、次は無視しないわね?
と彼女に言われてしまった。
名前すらしらない。それが友達かよと心でほくそ笑んで、笑ってしまった。
あら? 私と友達になれるのが、そんなに嬉しい? 一ノ瀬真斗くん。
いや…嬉しくねーよ。ってか僕の名前知ってたのかい。と心で囁いた。
こうして僕は、名前も知らない、初めての友達が出来た。
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