閑話41 頑張れ、13代目吾輩くん


 ――聖王国歴1027年、某日。レイナード伯爵領が深淵の軍勢に襲撃を受けたとの知らせを受け、伯爵領の騎士達や兵士達が立ち向かった。


 当然、一般兵である吾輩も戦いに参加したのである。吾輩の家は、先祖代々兵士訓練校を卒業するという謎のしきたりが存在する……本当に謎である、何故に聖王都にある王立学園に行かせてもらえないの(;´・ω・)?


 どうやら、我が一族はその謎のしきたりから有名らしく、周囲からは13代目吾輩くんなどと呼ばれている。ちなみに、吾輩という呼称を使い出したのは300年ほど前の先祖で初代吾輩くんと呼ばれているそうな。


 初代をはじめ、先祖の幾人かは騎士に昇格したとの事。しかし、ここ100年ほどは兵士長止まり……吾輩、頑張って騎士になるのである('ω')ノ!


 元々は違う地に住んでいた吾輩の一族であったが、6代前の先祖がこのレイナード伯爵領に移住したという。現在はフローラ・レイナード様が伯爵家の当主を務めていらっしゃる。


 襲撃して来た深淵の軍勢は多く、しかもフローラ様が遠方に赴かれて不在という最悪のタイミングだったのである。


 吾輩は最初は領民達の避難誘導を行い、暫くしてから戦いに参加した。騎士や兵士達が懸命に戦うも多勢に無勢……(´;ω;`)


 負傷者も多く、怪我を治す回復薬が足りるだろうか? 不安になっていたところに来訪者が現れた――フローラ様の妹君であらせられるリリア様だった。


 リリア様は非常に希少な光の力を宿し、優れた治癒魔法を扱える御方。彼女は負傷者の怪我を癒す為に、こんな危険な戦場に来て下さったのだ。


 吾輩はこれといって戦闘に優れた能力は持たないが、体力と足の速さにはそれなりに自信がある。負傷者を見つけると担いでリリア様のところまで運ぶを延々と繰り返す。


「すみません、怪我人の方を運んで下さって感謝します」


「いえいえ、お気になさらず(`・ω・´)ゞ!」


 お嬢様に労いの言葉を掛けて頂き、テンションが上がるであります('ω')ノ!


 しかし……さ、流石に疲れて、お腹が空いてきたのである。ああ、カツ丼が食べたい……。


 この後、戦場に赤髪の青年が現れてあっという間に深淵の軍勢を片付けてしまったのである。あの青年、何処かで会った事があるような……(;´・ω・)?


 そういえば、昔読んだ御先祖様が遺した自伝に赤髪の騎士に命を救われたとか書いてあったような気がする。まさか……そんなわけないか、300年も昔の話だし。


「コラー、13代目! キビキビ動かんかー(# ゚Д゚)!」


「りょ、了解であります(;´・ω・)!」


 兵士長に怒鳴られ、仕事に集中する。何か、兵士長に怒られるのって初めてじゃない気がする――気のせい?


 ああ、吾輩も騎士なってカッコよく活躍したいのである! バリバリ活躍して、絶対に騎士に昇格するである!!


 カッコいい騎士の姿で活躍する日を夢見て、吾輩は頑張るのである('ω')ノ!




 おまけ


「あれ……?」


「ディゼルさん、どうしたんですか?」


「いえ、あの兵士に見覚えがあるような気がしまして……うーん(;´・ω・)?」


 13代目吾輩くんに、既視感を感じずにはいられない天の騎士であったw



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