閑話21 追われる少女と追跡者達
「ハァハァ……!」
私――リリア・レイナードは、息を切らしながら走っていた。今、後ろには私を追って来るふたりの追跡者の姿が。
捕まれば、どんな目に遭うか……追跡者達から逃れるべく、必死に走り続けていた。
「……! い、行き止まり!?」
曲がり角の先は行き止まりだった。後ろを振り向くと、そこには笑みを浮かべる追跡者達の姿があった。
「とうとう追い詰めましたよ」
「逃がしませんわ」
「どうして、どうして、私を追い掛けて来るんですか――ライリーさん、ロゼさん!?」
そう、私を追い掛けてきたのはライリーさんとロゼさんだった。お面を付けた変な人におもちを揉まれるという災難の後、いきなり瞳を光らせながら彼女達は私を追い掛けてきたのです。
しかも、運悪くディゼルさんが居ない時に。加えて不運だったのは、ディゼルさんが付与魔法を施してくれた首飾りを身に付けていなかった事でしょう。
現在、首飾りは作った本人であるディゼルさんに預けています。何故かと言うと……。
『付与魔法も永続的に続くものではありません。定期的に付与魔法を施しておきましょう』
『わかりました』
……首飾りをディゼルさんに預けてしまったのが運の尽きでした(´;ω;`)。
壁際に追い詰められる私。ああ、どうして――わ、私、何かしましたか!?
「リリアさん、覚悟は出来てますか?」
「思いっ切り調べさせてもらいますわよ、リリアさん」
「ふ、ふたりとも、一体どうしたって言うんですか? め、目が怖いです……!」
彼女達はウフフと笑いながら、カツーンカツーンと足音を立てながら近付いて来る……こ、怖い(;゚Д゚)。
い、何時もの彼女達じゃない。い、一体、どうしてしまったというの!?
ふたりは両手をワキワキさせながら、にじり寄って来ます。
「何故、私達がこんな事をするのか。それは、勿論――」
「リリアさんのおもちを調べる為ですわ!」
「………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………は(;゚Д゚)?」
え、私の胸……おもちを調べる為ってどういう事?
「あ、あの、それはどういう事――」
「どういう事もこういう事も、そう言う事もありません!」
「そうですわ、前回のおもちマニアさんのランキング――11人中4位はリリアさんでしたわ!」
「え、えーと……?」
困惑する私。ライリーさんとロゼさんの瞳から、どっと涙が溢れる。
「ちなみに、私は8位でした(´;ω;`)」
「私なんて10位でしたわ(´;ω;`)。最下位でなかったのはホッとしましたけど……」
「あ、あの、ふたりともそんなに気にしなくても――」
「気にしてるからこそです!」
「リリアさん、親善試合第三試合後にマイラさんのおもちのサイズを気にしている私達とは違って、全然気にしてない素振りでしたものねぇ……!」
血の涙を流しながら、ギリギリと歯ぎしりする彼女達。思わず、ヒッと悲鳴を上げてしまいそうになる。
「――というわけで、リリアさん♪」
「御覚悟を♪」
「きゃっ!?」
ふたりは、瞳をキュピーンと光らせながら私のおもちを鷲掴みにしました。
「こ、こりは……(;゚Д゚)!?」
「ぬ、ぬわんというおもちですの(;゚Д゚)!? さ、流石にシルクさんやマイラさんには及びませんけど、第3位のファイさんとは僅差ですわ……!!」
「ふ、ふたりとも、やめて下さいぃぃぃ……///」
同時刻、3人から少し離れた位置からディゼルは様子を窺っていた。リリアの危機を直感で悟った彼は、急いで現場に急行したのだが……そこでは、おもちを堪能するライリーとロゼ、そしておもちを揉まれているリリアの姿があった。
「(ど、どうしよう……ふ、踏み込むに踏み込めない(;´・ω・))」
結局、ふたりに思いっ切りおもちを調べられるリリアさんであった。
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