第38話 乙女達の入浴
シルクの家から少し離れた場所にそれは存在した。私とシルク、リーナの3人はそこに訪れている――冷えた身体を温める為に。
地熱で温められた地下水が地表に湧出したもの……即ち、温泉である。シルクの魔力を抑える為、ガッチガチに冷え切った身体を温めるのにはもってこいの場所だろう。
あ……念の為に、確認しておかなきゃ。通信魔法でロイド先輩に呼び掛ける。
「ロイド先輩ー? 覗いてませんよねー?」
『そんな不埒な行為に手を染めるか、馬鹿者! 俺は守護騎士だぞ!』
頭にロイド先輩の怒声が響く。ああ、もう……怒鳴らなくてもいいじゃない。
先輩は、温泉から少し離れた場所で待機している。まぁ、覗きに来ようものなら相手が先輩だろうとフルボッコにするつもりだけどね。
乙女の柔肌を覗き見しようとするコンチクショーには、怒りの鉄拳をお見舞いするのが私の流儀だからね(((ꎤ’ω’)و三 ꎤ’ω’)-o≡シュッシュ
ちなみに、温泉に入る前に周囲に魔道具を設置して簡易結界を張り巡らせているので、深淵の軍勢が温泉に近付けば結界が守ってくれるから安心して入浴出来る。
直ぐにでも温泉に入りたそうなリーナを止め、身体を洗ってから入浴する。
「あぁ~~~~~ええ湯じゃのう(*´Д`)」
冷えた身体に温泉の温かさが伝わり、思わず顔が綻ぶ。そんな私を見て、リーナがこんなことを言う。
「ルディアお姉ちゃん、おばあちゃんみたい」
「んなっ!? リーナちゃん、そりゃないわよ! 私、まだじゅうななさいのピッチピチの乙女なんだからね!」
「あ……ルディアさんって、私よりひとつ年上なんだ」
「へえ、ってことはシルクさんは16歳……ぬおっ!?」
「ルディアお姉ちゃん、どうしたの……ファッ!?」
「ど、どうしたの、ふたりとも?」
私とリーナが同時に驚き、何が何だか分からないと困惑するシルク――だけど、そりゃ驚きますわい。
だって、シルクさんのたわわに実った肉まんがお湯の上に浮いてるんですもの……しゅ、しゅごいわ。
リーナと目を合わせる。互いの瞳がキラーンと輝き、頷き合う。
私とリーナは人差し指を立て、そして……シルクのたわわな肉まんを突く。
「ひゃんっ!? ちょ、ちょっと、ふたりとも……!?」
「にゃ、にゃんという弾力……!」
「にゃ、にゃんという柔らかさ……!」
し、辛抱たまらん! 突くだけじゃ物足りない、と私とリーナは瞳を輝かせながらシルクの肉まんを掌で思いっきり揉み揉みする。
「きゃっ……ま、待って……だめぇ……!」
くう、シルクさんってばそんな艶やかな声を出しちゃって♪
と、お楽しみタイムの真っ最中に頭に通信魔法による口うるさい人の声が響いてきました。
『ルディア、聞こえるか』
「んもぅ、何ですかロイド先輩? 私の入浴シーンを想像して欲情してたんですか?」
『やかましい、誰がお前のようなイノシシ娘に欲情するか』
「ロイド先輩、ヒドイ!」
イノシシ娘ってあんまりな言い方じゃない!?
『お前、温泉で何か粗相はしていないだろうな? お前のことだから、何かやらかしてるんじゃないかと思ってな』
あーもう、この人ってこういう時の勘がホントに鋭いのよね。折角、楽しい楽しい入浴タイムを満喫していたのに。
「何もしてませんよー、ただ……」
『ただ、何だ?』
「シルクさんのたわわな肉まんを揉み揉みしてるだけですよー」
『何をやっとるんだ、お前は!? シルク嬢に迷惑を掛けるんじゃない!!』
ロイド先輩の怒鳴り声が頭に響く。あー、顔は見えないけどこりゃ怒り心頭で真っ赤になってるのが想像出来るわねー。
「だって、無理ですよー。シルクさん凄いんですからー」
『不埒な行為をするんじゃない! さっさと、シルク嬢を解放しろ――』
「やぁんっ……! こ、これ以上はだめぇ……」
『……』
シルクの艶やかな声が遠距離に居るロイド先輩にも届いた模様、怒り心頭だった先輩が沈黙した。おんやぁ、これはもしかして――。
「んふー♪ どうしたんですか、ロイド先輩。急に黙っちゃって――もしかして、シルクさんのえっちぃ声に昂奮しちゃいました? 先輩ってば、やーらしー♪」
『……』
ブツン、と通信魔法が一方的に途切れた。あらら……怒らせ過ぎたかも。
こりゃ、後が怖いわね。しかぁし、今の私には優先すべきことがあるのよ!
「シルクさんの肉まんを思いっきり堪能しちゃいましょー♪」
「おー♪」
「ふぇええ……だ、だめぇえええええええええええええ」
冷えた身体を温めつつ、私とリーナはシルクの肉まんを堪能するのでした。
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