コペンハーゲンから帰った男

長く村を離れていた男が、突然、コペンハーゲンから帰ってきた。村の人々は驚き、喜んだ。しかし、男が話す内容は誰も理解できなかった。


男は言った。「コペンハーゲンで見たことは言葉にできない。」


人々はますます興味を引かれ、質問をした。「では、どのような風景だったのか。」


男は答えた。「風景とは何か、私には分からない。」


別の何人かの村人がそれぞれ別の質問をしたが、男の答えはすべて要領を得ないものだった。そのうち村人は男を相手にしなくなった。



数日後、村に別の男がコペンハーゲンから帰ってきた。村人は今度も驚いたが、その男も以前の男と同じように不可解な受け答えをし、次第に村人から相手にされなくなった。


その翌週は月曜から日曜まで毎日別の男がコペンハーゲンから帰ってきた。翌月には毎日数十人規模の男がコペンハーゲンから帰ってくるようになった。村人はもういちいち相手をしなかった。


その後も絶え間なくコペンハーゲンから男が帰ってきた。コペンハーゲンから帰ってきた男が村の人口の半分を超えたころ、村民による投票で村はコペンハーゲンという名前に改称した。そして男たちはどこかへ帰っていった。(終)


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