第287話援軍と援軍?4

「ナイトは俺だが、先触れということはそちらの主はこれから来るということでいいのだろうか?」


「まさにその通り、ドワーフ王よりこちらへ援軍として向かえと命を受けようやくたどり着いた所でな。どうやらちょうど宴を始めたようだし、我が主にもぜひ一緒に食事を。援軍として来たのだ感謝するがよい」


「なるほど、確かに援軍として来てくれたことには感謝しなければならないな、長旅で疲れているであろうから食事を提供するのもやぶさかではないが、なぜそちらが上扱いになっているのかそちらの主に確認させてもらいたいな」


「きっ貴様なにを無礼なことを、援軍要請を出したのはそちらの方であろう、それを助けに来てやったのだ。当然お前らが下になって」


「お前じゃ話にならないな、まずそちらの主とやらをこちらに連れてきてもらいたい。話はそこからだ」


「くっ黙って従っておけばいいものを、わかった我が主に話してこちらに来てもらおう。後悔するなよ」


 先触れとして来た者は不満に満ちた顔で引き下がり主を連れに戻っていった。


「ナイト様大丈夫でしょうか?」


「ティナが気にすることじゃないから大丈夫だよ、援軍とはいえ信頼出来る相手じゃなければ無駄な血を流すことになるかもしれないからね」


 それから1時間しないくらいで先ほどの男が戻ってきたがなにやら様子がおかしい。


「すまない、今回の援軍で大将を任されたナーゼだ。先ほどは大変申し訳ない、この度の援軍は先日の迷惑を少しでも返せるようドワーフ王が私に命をくれたというのに」


 そこにいたのはドワーフ国の第一王子であった。


「まさか、あなたが援軍で来るとは思いませんでしたがハッキリ言って私はまだあなたを信頼出来ない申し訳ないないが」


「それは当然だ、操られていたとはいえあのような振る舞い何度詫びても足りないくらいだ。父から私は今国王になる継承権を剥奪されている。私自身が迷惑をかけた分困っている民や他人を少しでも助け国王としての自覚を持ったと判断されるまでは認めてもらえることはない。今回の援軍はそれを判断する為のものなのだ」


 なるほど、ドワーフ王が好きに使えと言った理由はこれだったのか


「ナーゼ様話はわかりました。ですが、先ほど話した通り我々はまだあなたを完全に信頼することは出来ない。中途半端にこの戦いに参戦した所で余計な血が流れるのは明らかな現実は理解してもらえますか?」


「もちろんだ、我とてこの部隊を預かる身無駄な血は流させたくない、彼らは私の大事な民なのだから」


「参加するに辺り基本的に指示権はこちらが上になります。それを理解して動くことはできますか?」


「もちろんだ、我々はただの一部隊として指揮可に入ることに文句はない、もし我が部隊にそのようなものがいたら私が必ず説得してみせる」


 どうやら以前とは違うようだな、王族としての傲慢を感じない。


「でしたら、最初の命令です。従ってもらえますか?」


「どんな命令でも受け入れるつもりだ」


「ここでは一切身分など関係なく仲間となるもの達と少しでも話して友好を深めてください。そしてしっかりご飯を食べて汗を流しゆっくり休んで体を整えてください。それが最初の命令です、従ってもらえますか?」


「もっもちろんだ、今の私に身分など関係ない、仲間として色々話をさせてくれ。それと貴殿の料理を再び食べれることに感謝する。あの新たな料理との出会いは今でも忘れられぬ」


「なら援軍に来てくれて感謝する。今日は食べて飲んで体を癒やしてくれ」

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