第277話決裂

 俺はマーケドックを警戒しながらも聞こえてくる声の方向を必死に探っていくとそれらしい影を見つけることが出来たので、その顔を見ようと目線を上げていくと目が合った。

 あちらも目が合ったことに気づいたのか、こちらを見てそのマリアに似ている顔から想像もつかなかった表情で獲物を見つけた歓喜からなのか気味の悪い笑顔でこちらを見つめてくるがその表情は一瞬で彼女の声を聞いた瞬間獲物が移り変わった。


「お姉様私はここです、もし用があるならばお話しませんか?」ティナの方から姉をこちらに誘ってきた。もしかしたら、今起こっている元凶かもしれないのにこちらに誘い込むなんてなにを考えているんだティナはと考えているとティナはこちらを見てまるでこちらは任せてくださいと強い意志を感じる目でこちらを一度見てすぐに姉の方に目線を戻した。


 こちらもマーケドックを放っておくことは出来ないので、ここはティナを信じてあちらは任せてこっちはこっちで集中しよう。


「こうして顔を合わせて話すのは久しぶりね、それにしてもその後ろにいるのは何かしら?あなたも形だけとはいえ王族の端くれなんだから連れて歩くものはしっかり選びなさい」


「ご心配ありがとうございます。……ですが、ここにいる者達は私が最も信頼している家族に等しい者達ですので」


 ティナの言葉を受けて一緒に来ていたマリアやリザ達は嬉しくもあり恥ずかしかったのか顔を赤くしながらモジモジしてしまう。


「ふん、ま〜あなた程度に付いてくる者だから底はしれてるでしょうけどね」


「まだ底が見えないのが不安ですが、私なんかに付いてきてくれて、いえっ一緒に歩んでくれて頼もしいです」


「それにしても、まさかこんなに早く目覚めてくるのは予想外だったわ。あなたも、わかってるんでしょ?光の聖女さん」


「まだしっかりと自覚はありませんがどうやらその光の聖女が私らしいのは本当のようですね。お姉様気づいてますか?お姉様は昔から余裕を醸し出しながらも警戒している時は昔からあるクセが出るんですよ」


「フッフッフハハハっ警戒ですって?面白いことを言うじゃない。ユーモアだけは成長したようね、あなたごときに警戒なんて必要ないわ。今日あなたを呼び出したのもただの気まぐれよ」


「そうですか、では私の勘違いだったようですね。いつも以上に自分が上なんだと自己表現が強くなることがよく見られたので申し訳ありません」


「ふん、ま〜いいわ。今日話したいのは他にもう一つあるんだけどいいかしら?」


「お姉様からそのように話すのは珍しいですね、まずは内容を聞かせてもらってからでよろしいですか?」


「私たちの邪魔になるようなことはやめなさい、そしたら姉妹のよしみとしてあなた達を見逃してあげるわ。もし、話が聞けないというのならばこれ以上は言わなくても分かるわね?」


「まったくわかりません!そもそも私はお姉様が今までしてきた不正を正すつもりでいます。もし、大人しく今までの罪を謝罪し罪の償いをするというなら私も姉妹として手助けをしましょう、ですがそうでないなら光の聖女として戦わせてもらいます。それが七つの大罪の一つの色欲をもつ姉なら尚更」


「よくわかったわね、それならもう結果は決まりね。なら今日は下がらせて貰うわ、あの子の暴走はこちらとしても予定外だったし。行くわよ、あの子を予定通り捕まえてきて」


「わかったわお姉様、それにしても不味そうな匂いだわ」


 それはいきなり現れた。その体は人並み外れた大きさをしているのに動きは体の大きさを感じさせない程素早くマーケドックを抑え込んだと思ったらマーケドックから溢れる魔力を一気に吸い上げマーケドックを抱え一気に消え去った。


「ふふっあなたには今の分かったかしら?」


「姿は私の知るお姉様とは違いましたが、お姉様の指示を素直に聞くとこを見ると」


「えーそうよ、私のもう一人の大事な妹よ。あの子は素直で私に従ってくれるお利口さんさんよ。それに暴食の持ち主でもあるの。色欲、暴食、強欲のスキルをもつ私たちに勝てるかしら?近いうちまた来るから楽しみにしてなさい」そう告げると周りが一斉に人だかりに飲まれ姿が見えなくなってしまった。



「逃げられてしまいましたね、しかしこれでもうやることは決まりました」


「ティナ大丈夫だったか?すまない、こちらも警戒していたが余りのことに対応出来ずに」


「大丈夫です私は、それにナイトさんがあのバカを引き付けていてくれたおかげでお姉様とお話は出来ましたし。どうやら私のお姉様二人は色欲と暴食の大罪スキル持ちらしいです。恐らく暴食スキルの能力の一つであのバカの力を吸い取ったのでしょう。近い内にあの三人はまた姿を現します、その時こそ全てに決着をつけてシルキーさんを復活させて、私たちの祝福の門としましょう」


  



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