第267話敗者には
「この勝負ナイトの勝ちとする」とユリウスの声と共に歓声が沸き上がる。
ユリウスがこちらに近づき魔力切れで体に力の入らない俺を支えながら腕を取り観客席に向って手を振るが体に力の入らない俺はまるでユリウスが操る人形のようだ。
「話があるから後で俺の所に来い、その時に保護した二人も解放する」
ユリウスは周りを警戒しながらボソッと伝えてきた。
「お疲れ様ナイト、あんな技初めて見た。でも無茶はダメ、今みたいに動けなくなるようじゃまだまだ使えない」
「そうだな、改めて実感してるよ。これだけ威力があってもまだまだ扱いきれてないからもっと鍛えないとな」
「クソッ一体なにが起こったんだ。やつが輝き出したと思ったらって周りがなんか騒がしいな」
「俺達も一体なにがなんやら、フォクシー兄貴の技であのクソガキがくたばる様を見れるかと思ったら急にやつが光りだして」
状況を理解できず混乱している三人の前にヴィオラが上から見上げる形で立つ。
「貴方達はナイト様に負けて気をさっきまで失っていたの。周りを見てみなさい、ナイト様の勝利に歓声をあげているんです」
「ふざけるな、俺達はまだやれる」
「えーそうでしょうね。ですがこれは殺し合いなんかじゃないから終わりよ。それに貴方達は負けたんだから敗者には罰が必要よね。だから私がナイト様に変わってあなた達に相応しい罰を与えてあげる」
ヴィオラはお気に入りのおもちゃを見つけたかのように口角を上げて手持ちのバックから3つの薬を取り出す。
「さてここであなた達に選ばせてあげる、この3つの薬はさっき騒ぎを起こしてしまったタタナクナールとハエナクナールともう一つら謎の薬。一人一つ選んで、もし選ばないというならそれでもいいけど全部の薬をあなた達に使う。さーどうする?」
選んでも地獄、選ばなくても地獄という究極の二択を叩きつけられ結局自ら一つずつ選び、喧嘩を売ったことを後悔する3人であった。
「今回の決闘お疲れだったな。これで、あの三人も少しは反省するだろう。もし、反省を見せずお前らに手を出すようなら遠慮なくやってくれ。殺さなければどうしてくれたっていい」
「わざわざ決闘を起こしたのはやつら三人への最後の救いの手というところか。やつらも有望な闘士だったからこそ支配人として見捨てたくなかったか」
「そうだな、今だってあれだけの力を持っているんだ。闘技場の支配人としては有望なやつは見捨てたくないのが正直な気持ちだ。だからこそあのティナ嬢以上の力を持つであろうお前に託して見たが正解だったな。俺はザックと違って見る目があったってことだ」
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