第261話合流

「なかなかの騒ぎになっているな。しかし、派手な怪我とかをしているやつがいないのが幸いだな。これで怪我人が出たらと考えると」


「確かに怪我人はいないですが、獣人だからでしょうか?目や鼻に喉にダメージを受けている方が見えますね」


「それは済まないと思うが非殺傷性の刺激物だから許して欲しいな」


「すまないがティナは用意してある回復薬を使って被害の出ている獣人の治療をしてもらえないか?」


「わかりました。すぐに治療に移ります」


 ティナに治療を任せて俺とマリアは三人を探すために騒ぎがでかい方に向かって再び歩みを進めた。


 騒ぎが大きくなっているとこに向かうと段々とある意味聞き慣れた言葉と初めて聞く言葉が増えてきた。


「チクショウあの女ぜって〜許さねぇ、今日はついにあの子とハッスルの予定だったのに俺のがピクリとも反応しやがらね〜」


「チクショウ嫁の悲しむ顔が浮かんでくるぜ、子供欲しがってタイミング合わせていたのに」


あ〜タタナクナールの被害者の声が聞こえてくる、本当に申し訳ない、三人が見つかり次第治療薬を至急用意させよう。


「うーもうどうしたらいいんだ、せっかく毛並みを揃えたのにところどころ禿げちまってこれじゃぁ彼女に会うことなんて、チクショウあの女薄気味悪い笑い方しやがって絶対探し出してあの髪をめちゃくちゃにしてやる」


 薄気味悪い笑い方はあまり否定出来ないがヴィオラは完全に陰キャだから明るい笑い方とか出来ないんだよってかあのヴィオラが明るく笑っている方が違和感あり過ぎて怖いんだよ。


「だいぶ路地裏から明るいとこに出てきたな、あの三人は一体どこにいるんだ?」


 三人が見つかったという情報がないのが唯一の救いだがそれがいつまで持つことやらと考えていると後ろからガサッと音が聞こえて気配察知のスキルで周辺を伺うと三人の気配を感じる。もしかしたらと思い気配のする方向にゆっくり近づくと


「うぁ〜ナイトざまーやっど会えだよ~、ごめんなざいこんな大きな騒ぎになってしまいまして」


 リザが今まで見たこと無い感情丸出しで泣きながら謝ってきた。


「いや、騒ぎがでかくなったのは確かに問題だが何より三人にと合流することが出来て良かった。一体なにが起きてこんな状況になったんだ?」


ぐすっと泣きじゃくりながらもリザは起きたことを説明しようと口を開いた。


「私達はナイト様に言われたように拠点を探していたんですが、ガラの悪い獣人に絡まれてしまいなんとかしようと頑張っていたんですが力が強く裏路地に連れ込まれそうになってしまったのでナイト様から預かった赤のボールを使ったら予想以上に被害が広がってしまい周りの獣人もこちらに敵意を丸出しで迫ってきたのでやむなくタタナクナールを使ってしまいこんな状況に」


「なるほど、それとハエナクナールとかって知らない薬も聞こえて来たんだが」


「それはですね、本来女性向けの薬だったんですが、薄めずに原液を使った結果毛が抜け落ちる残念な結果に」


なるほど、大体の事情は分かった。後はこの騒ぎをどう鎮めるかだな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る