第244話仲良し

「どれどれ、おいそこの……いや、まさかそこにいるのはティナ様でございませんか?」


 マーケドックは、後退りするみんなの中からティナを見つけていた。ティナは王女であるし、王都にいるときに見たことがあったのかもしれない


「ティナ王女、なぜこのようなエセ領主と共におられるのですか?ティナ様にはこのような男のそばにいるより私のように将来有望な私といるほうがふさわしいはずです」


 その言葉に、女性陣の目と雰囲気が一気に変わり周りの空気が一気に冷えたかのように感じた。


「あなたは、私のことを知っているようですが私はあなたのことを全く知りません。それに、ナイト様をそのように見る輩には今後一切興味を持つことはありませんのであしからず……」


 うんうんと女性陣は同意しながら頷き合う。息あってて、本当にみんな仲がいいな。


「なぜそのような男の方がいいというのですか!全く理解できませんね。確かに、私がいた頃より領地は栄えているようですが、それは私の父が無能であっただけで私が領地を継いでいたら、今より必ず栄えた領地になっていたはずです」


「なるほど、確かにもしかしたらその可能性もあったかもしれませんね。………ですが、それは可能性であり、私にはそのような可能性があるとは思えません。それに、あなたの父いえ前領主が不正のオンパレードで追放になったことを父から聞いております。そのような不正でワガママに育ってきたあなたになにか出来るとは思えません。こちらにいるナイト様は不正で疲弊しきっていた領民に希望を与え、富を与えここまで豊かにして1から笑顔を作り出したんです」


 ティナに改めて言われるとなんか嬉しい気持ちもあるが少々気恥ずかしいな。


「ふ、ふん……俺だって領主だったら」


 ティナにこてんぱんに言われて、ちょっと怖じ気づいてしまったのか勢いが弱くなったが、それも一瞬で次はアリアに視線を送る。


 その視線に気づいたのかマリアは警戒を強めるがマーケドックは一気に距離を縮め一瞬でマリアに詰め寄り腕を握りしめる


「ふん、ならばこの女で遊ばせてもらいましょうか?ティナ様の侍女であろうから身分もそこそこであろうし、これから偉大になる私のそば付きになれば贅沢もさせてやるぞ」


「離してください、私もティナ様と同じであなたなんかについていく気はありません。私にはすでに心に決めた方がいるのです」


「どいつもこいつもなんなんだ、この俺様に逆らいやがって、お前みたいな女は俺にただ従っていればいいんだよ。おらっこっちにいいからきやがれ」


 マーケドックは、無理やりマリアの腕を引っ張り自分の元にと引っ張るがマリアも抵抗してしばし拮抗していたが、マーケドックの手が滑りマリアの指に嵌めていた変化の指輪が外れてしまう。

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