第245話大切な人
マーケドックに引っ張られた勢いで指輪が外れてしまい転がっていくのを見ているとマーケドックから笑い声がこぼれる。
「ふっふっふははは、おいおいなんだよ、指輪が取れた途端姿が変わりやがった。ってことはこの指輪は変化の指輪ってことか、しかもこの女前にいたメイドだろう。俺が妾にしてやろうとしたのを断った女じゃねーか」
マーケドックはそのまま俺達の指をジロッと見つめ再びニヤける。
「さっきの変化の指輪と同じのをそこの女とお前も同じのをしていやがるな、つまりあれかそこの女はこの母親で、んでお前は弟のレイってことか?いやいやまさか姿に名前を変えて領地を奪いにくるとはなんともまた、そんなに俺達が憎かったか?それともこの領地が欲しかったのか?」
「はーバレたなら仕方ないか、そのとおり俺はあんたの弟のレイで間違いないよ。国王から色々あってレイの名前を捨てて新しくナイトとしての命をもらったんだ。幸い追放された身だったし以前の名前に執着は無かったからな。おかげで今はナイトとしての生を満喫させてもらっている。この領地をいただく時もどちらかというとあんたらに苦しめられた領民を助けたくてなった部分が大きいからな」
「なるほど、なるほどあの無能がどうやってか分からないがなにかしらの力を手に入れて帰ってきたというわけか。ならば、兄として無能なお前に命じてやる。無能なお前には領主としての荷は重かろう。だからこそお前より優れた兄である俺が領主を引き継いでやるからお前は俺に全てを差し出してとっとと消えろ」
「話の分からないお前には何度でも言ってやる。俺のものをいや俺の大切な人達をお前みたいなクズに渡す理由があるわけないだろう。前は殴るだけで済ませたが今度はそんな甘く済ませる気はない、今ここで去らなければ俺はお前を始末する、いや始末したほうがきっといいと思っているが………最後の身内として手は出さないでやる」
「おいおいなんでお前が上の立場でものを言ってるんだよ、お前は所詮無能なんだよ。たまたま上手くいって領主になったかもしれないがこれまでなんだよ。その証拠にお前の大切だっていうやつを奪ってやるよ」
その言葉に俺は警戒をするが、一体こいつは俺のなにを奪うつもりなんだ?
「てめぇが素直に娘を差し出しておけばこんなことにならなかったのにな、死ぬまでにあのときのことを後悔するんだなババア」
その言葉が終わったときに起こったことはマーケドックが腰に差していた刀がシルキーを貫いていた。
「はははは、いいざまだな。俺様に逆らうからこんなことになるんだ。まーババアなんだし、そこまで生い先も長くねーだろ。」
「マーケドックてめえ何しやがってんだ」
俺は、全身に魔力を一気に流し込み最大強化でマーケドックに詰め寄る。
「おっと怖い怖い、まー今回はこれで帰ってやるよ。お前のそのいい顔見れて最高の気分だからな」
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