第214話取引

「この度は我が領地で行う初の収穫祭にきていただき感謝します。我が領地で取れた新鮮な食材と新たな料理との出会いが皆様によい思い出になればと思います。このあとは催しものもございますのでしばしお食事などをお楽しみください。それでは領地の発展を願って乾杯」


       「「「「乾杯」」」」


始まりの挨拶を問題なくすませて一安心して、次は料理の見回りだ。料理の仕方は教えたがトラブルが発生した場合すぐ駆けつけていけるように周囲に気を配りながら待機している


周りを歩いているとさっそくうめ〜とかなんなんだこの食べ物は?この食材からこのような料理がどうやって作ったんだと作った側からしたら嬉しい悲鳴が鳴り響いている


「どうかな?在庫は足りそうかい」


「ナイト様在庫は山程用意してますがこの様子ではどうなるか」


今周りでは新しい料理を食べた人が色々叫んでそれを聞いた人が更に集まりどんどん客が集まるという無限ループを繰り返している。


「食材はまだまだ余裕あるから下準備は早めに様子を見ながらやってもらっていいかな」


「わかりました。様子を見ながら途切れないように気をつけます」


ひとまず収穫祭は始まったばかりだし、新しい料理にたくさんの人が集まってくれていい傾向だ。


「ナッナイトさんこれが本当にあのモイから作った物なんですか?茹でて食べるしか今まで食べ方なかったのに、しかも話を聞くと基本的な作り方は全部一緒だというじゃないですか」


やはりモイは人気が無かったみたいだが、今回のことで人気が出ればたくさん買ってくれる業者の方もいるかもしれない。モイは一回の収穫でもしっかりと量が確保できるので大量販売に向いている食材だと考えている。


「もちろん、このレシピもしっかりと教えるから帰ってから作って広めてほしい。」


「やはり今回の招待を受けて正解でした。必ずこのモイの料理を広めてみせますし、それ以外にも興味深いものばかりで覚えることが山程あって今は3人で手当たり次第あたっているんです」


「そうだ、そのかわりと言ってなんだか頼みたいことがあるんだが引き受けてもらえないだろうか?」


俺はドワーフ王国で見つけた醤油などを定期的に手に入れたく取引先と話をつけてほしいと頼んだ。いずれは自分達の領地でも作れるようにしていきたいがノウハウも必要だし時間がかかるものなので今は手を出していなかった。


「分かりました。ナイトさんなら取引も断れることはないと思いますので吉報をお待ち下さい。それでは自分は更なら未知の料理との出会いを求めに行ってまいります」


いやーいい取引が出来たな。これで料理の幅は無限に広がるぞと考えていたらどこからか騒いでいる声が聞こえて来たので声がする方に向かっていく。


「このマヨネーズとやらを作ったやつを早く連れてこい。これは我が国が作ったものだぞ、それを勝手に自分達が作ったかのように出しおってワシ自らこのようなことをすればどうなるか教えてやる」


なんだろあのおっさんはドワーフ王国の貴族だろうか?あの時のパーティーでマヨネーズを出したからなんか勘違いしてる感じだな。どうしようかな〜、ここで俺が作ったと言っても信じなそうだし、だけどこのまま騒いだらせっかくの盛り上がりが台無しになってしまう困ったな。


「ふ〜まったくこの恥さらしが逆にワシが教えてやるわ」


後ろからいきなり声が聞こえ振り向くとそこには、静かに怒っているドワーフ王がいた

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