第118話どんだけ〜
ディスと鍛冶と採掘を、繰り返す日々も役一週間がたち大分落ち着いてきた。そんな平和な日々が一変する事態がおきた。
祭典の時に、一緒に料理した三人の中の一人が何者かに襲われる事件が発生した。今のところ、犯人はわかっていないが、どうやら王子が、関与しているのではないかと噂もある。
王子の専属になれとの誘いを断り、王子から恨みを買っていると思われる一人だ。料理を、教えたばかりに誘われ、恨みを買う原因の一つになった俺としては、心が痛いところだ。他の二人も、もしかしたら襲われる可能性もあるのが不安だな。ちょっと様子を見に行こうかな。
俺は久しぶりに王城の厨房に向かい料理長に挨拶をする。
「料理長お久しぶりです。その後どうですか?」
「おー、久しぶりだな。お前さんのお陰で唐揚げと照り焼きが人気でな、週に一回は出す定番メニューになったぞ。それと米だったか?あれも、取引の量を増やして今みんなで研究してるんだ。後ででいいからコツがあるなら教えてくれ」
よかった。教えたメニューは定着しつつあるみたいだ。米の入荷も増えれば俺にも分けてもらえるだろうか?そこは要確認だな。
「ところで、今日ここに来たのは例の件でか?」
俺は、静かにうなずき料理長の反応を見る。料理長は目で厨房の角の部屋を見て後は任せるといった雰囲気で、仕事に戻っていった。
俺は、料理長に礼をして目線の先にあった部屋に向かっていく。扉を開けるとそこには
「だから、この組み合わせでやれば」 「いやいやその組み合わだと余計」なかなか騒がしく言い合いをしていた。部屋の中を見ると理科の実験室みたいな雰囲気で、色々な調味料が棚に並んでいた。
「久しぶりだなお前ら、けが人もいるのにやけに賑やかだな」
「ナイトさんお久しぶりです。こんな怪我かすり傷ですよ。今は料理長の配慮でこの部屋で新しい調味料などの研究を、させてもらっています。ナイトさんに教わった基礎から色々試していたらどんどん新しい味が出来て休む暇も無いくらいです。今にナイトさんがびっくりする料理をみせてあげますから楽しみにしてください。」
新しい味に挑戦してくれるのは、嬉しいな。これなら新しい味に挑戦して大丈夫かな?調味料がここには、たくさんあるし、カレーなんか教えてみるか、配合や調理法次第で無限に追求しなくてはいけない究極の料理といえるかもしれない。
しばらくは、こいつらの様子を見ながらまた襲われないように警戒をするからちょうどいいだろう。
「新しい味にチャレンジする気合があるなら、俺が、新しい味を教えてやるよ。これは、基本3つの調味料いやこの場合はスパイスが正しいかな。この3つの組み合わせが基本になり、そこからは、無限に広がる組み合わせだ。俺でも終わりの見えない料理だがやる気はあるか?」
この言葉に3人は子供のように純粋な目でこちらを見ながらカレーのレシピをワクワクしながら待ち望んでいるのが伝わった。
俺は、匂いをかぎながらクミン、ターメリック、コリアンダーに近いのを探し簡単に調理をしていく。香りだけで、懐かしいなと思ってしまう。この3つで作るカレーは一番の基礎であり、後は何を組み合わせるかで果てしない挑戦が始まる。彼らが納得出来るカレーが出来上がるのを楽しみにしよう。
「そうだ、今日来たのはこれを教えるためじゃなくて、しばらくお前らの護衛につくからよろしくな。せっかく知り合った仲で不幸な目にあう可能性が出るのは俺としても遠慮したい。
問題なければ護衛も終わるから、その間はわからないことに関して答えられる範囲で答えるから気楽に料理と向き合ってくれ」
彼らは、護衛の話を聞くと不安な顔になったが、料理の質問に答えるといったら集まって質問を考え始めていた。
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