第112話王子と

王と王子の一騒動はあったが、じょじょに周りも落ち着き始め、再びにぎやかな雰囲気が戻ってきた。王子もいつの間にか、いなくなっておりさっきの騒動が嘘のようだった。

 しかし、王もなかなかやるよ。王子に俺たちの事がバレないように王命まで使って、この後なにを言われるのやら。タイミングを測ったかのように、俺のもとに料理長がやってくる。なんでも、話したいことがあるため再び王のもとへ来るようにと伝言をしろと頼まれたらしい。

 この人も、料理長で偉いのに使いパシリにされて可哀想に、とりあえず伝言は、受けたのでタイミングを見て向かおう。



「が~何なんだ、チクショー。俺は次期王だぞ、なぜ俺の言うことをきかないんだ。」


王子は荒れていた。部屋につくなり周りにあるどう見ても高価なものにしか見えない家具などを手当たり次第吹き飛ばし、部屋の中を見るも無惨に変えていく。


「あらっ今日は、いつも以上に荒れてるわね。どうしたの?言ってみなさいよ。私に出来ることならしてあげるから。」


「ふん、お前か。どうもこうもない、俺様が、直々に専属の料理人に選んでやったというのに断りやがるし、その料理とかを教えたやつがいるみたいなんだが、そいつに関わることは、王命で禁止だとよ。どこのどいつか知らんが、王族の俺様に従わないようなやつ死んでしまえばいいんだ」


「まったくその通りね。次期王である、あなたのいうことに従わないやつなんて殺してしまえばいいのよ。いえ、もういっそあなたが王になってしまえばいいのよ。そうしたら逆らうやつはどこにもいなくなるわ。現王も、もう考えが古いのよ。これからは、あなたがこの国を変えていくの」


「あーまったくその通りだ、これからは、この俺様がこの国を導いてやらないとな。王には、とっとと王の座をどいてもらおうじゃないか」


二人だけしかいない部屋に笑い声が木霊していき、女は、高笑いする王子を見ながらその顔をニヤつかせていた。





「すまぬな再び呼んでしまい、それと、我が愚息の情けない姿を見せてしまい申し訳ない、以前はあんな態度を見せることはなかったんだが、あのダークエルフが、来てから性格もまったく違うものに変わってしまったのじゃ」


良かった。流石に元々あんな性格だとしたら国を救っても時間も、経たない内に自然と国は滅んでいただろう。だとしたら、やはり少し前に来たダークエルフが原因だと考えるのが妥当だよな。これは、早めに動かないとやばそうだ

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