第105話行動目標

謁見も終わり俺たちは、王が用意してくれた部屋に案内してもらい、一段落ついた。


「あの王様凄かったですね。気軽な雰囲気に飲まれて口が軽くなってしまうのもわかります。」


「そうだな。周りのものがいつの間にか敵になりつつあるんだ。常に警戒をしているんだろうな、あの気軽な雰囲気もあえて相手の油断を誘うためのものだとしたら、それを考える知恵と知識は恐ろしいというのが俺の本音だ。出来ることなら敵対したくはないね。」


「ナイト様がそこまで恐ろしいと感じるほどの方なんですね。私達も油断しないように警戒をしなくてはいけませんね。」


「警戒は必要だけど、みんなはそこまで意識しなくて大丈夫だよ。警戒のし過ぎはお互い疲れるしね。それに、あの酒を飲んだときの反応はあれは、本音だったろうし、酒好きの噂は本当なんだって実感したよ。試しにあの酒を俺も一口口にしたが、度数が高すぎてまったく飲めなかった。火を近づけたら引火してしまうほど強い酒なんだよあれは。」


みんなが目を丸くしていた。聞こえているのもお構いなしに角に集まって

「引火するようなお酒って献上品というかある意味武器の提供なんじゃないの?いやいやだって度数高いほうが気に入るかなって?限度ってものがあるでしょ限度ってものが」みんな、思い切り遠慮なくいいあっているな


「まーまー、幸いお酒は気に入ってもらうことが出来たんだから良しとしようじゃないか。このあとは、王様が信頼できる人を紹介してもらって、こちらの味方を徐々に増やして、国を救えるように動いていかないとね。」


「そうですね。ナイト様、私はまたこちらでも情報を集めてまいりましょうか?」


シルキーがいつものように情報収集の為に動こうかと提案してくれるが俺は、悩んだ。確かに情報はいくらあっても困らないから欲しいが、一人にして、そのダークエルフの女と会ってしまった時に、シルキーになにかある方がこちらは困る。今はっきり味方と言える人間は少ないから、少しでも被害が出るのは、抑えたいからな。


「今回はなるべくみんなで行動しよう。なるべく単独行動は控えて、なにが、起きても大丈夫なように備えよう。

 基本ティナに従う侍女としてマリアとシルキーには、一緒に行動して欲しい。情報収集は、怪しまれない程度にこの国にいる侍女や護衛兵の連中からの噂話を集めて欲しい。

 俺も、ティナの護衛という形で付いていくから。リザとヴィオラには、王様に鍛冶師をなんとか紹介してもらうからその人達と一緒に武器や防具を考えてくれないか?二人なら面白い発想でドワーフを巻き込んでしまうことも出来るだろう。

 あと、ダークエルフに対抗するものも考えて欲しい。考えられるパターンは、洗脳、魅了、誘惑などで他者を操るような対策だ。これは、被験者はゴロゴロいるだろうから、人道的な範囲ならば色々試して大丈夫だろう。

 あくまで人道的な範囲だから、ヴィオラは注意してくれよ。やり過ぎだけは勘弁してくれ」


とりあえずの行動目標はこんな感じだろう。あとは、相手の動きを見ながら臨機応変にだな。

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