第33話 アリア 決意する

兄からの、追放宣言で周りが騒がしくなる中屋敷から両親が、出てきて兄二人を喜びの笑顔で出迎えていた。


あー……そんな顔久しぶりに見たわ 能無し認定されてから俺のことは、冷たい目でしか見てこなかったから何も感じなくなっていたんだが、喜んで迎えられるってあんな楽しい雰囲気になるんだな。


メイド長であるメルヴィスが、騒がしくなっている他のメイド達を落ち着かせ、兄達の世話をするメイドを選び指示していると、アリアもそのメンバーにいた。


なんでも、兄がアリアを一目見て気に入り世話役にしろと指定したらしい。


今日の夜は、寂しく一人でお風呂に入ってねるのかー 最近はアリアの勢いに根負けして、お風呂は一緒に入っていた。


だがけっして問題は起こしていない 精神年齢は高いが体はまだまだ未熟だしな、アリアはなんかどんどんきれいになって、体も女らしくなってきているが今はまだ一線を踏み越えてはいない せいぜい上半身の洗いっこだけだ。


夜もふけてきて、ひとり寂しいお風呂も入り寝ようとベッドに潜ると、アリアが目を赤くしながら静かに降りてきて、無言でベッドに潜り込んで背中に顔を埋めながら抱きついてきた。


一体なにがあったんだよ アリアは優秀だしミスなんてするとは思えないが、抱きつきながら静かに震えるアリアを放ってはおけなくなり 体の向きを変えて前から抱きしめながら、頭を撫でてあげた。


アリアは、我慢できなくなったのか声を我慢しながらではあるが泣いてしまっていた。


しばらく、アリアが落ち着くまで待っていたら、涙もおさまり恥ずかしそうに顔を伏せながら元気になったと言いたげに上目遣いでニヒッと笑顔を見せてくれた 惚れてまうやろー そんな笑顔、反則過ぎるわ 可愛すぎて まったく


落ち着いたアリアから、なにがあったのか事情を聞き始めると、初めて自分の中に殺意を感じた。アリアもなにか感じたのか、不安な顔をしたのに気づき俺は、深呼吸して落ち着く。


アリアから聞いた事情をまとめると、兄は有能なアリアを偉く気に入り、将来正室は無理だが妾として飼ってやると だから今日から俺専属のメイドとなれと押し倒して来たらしい 幸いメルヴィスが用がありきたおかげで逃げることが出来たらしいが。


はーあの兄は、帰ってきてその夜に何を考えているんだ アリアが魅力的なのは認めるがな


アリアが姿勢を正し こちらを見つめる


「レイ様私はあなたのことが好きです 大好きです 私の幸せはレイ様のそばにいることです 決して当主との妾に、幸せを感じることはありません レイ様が、もちろん将来私とこっこ こどもをゴニョゴニョ」


ん?最後はなんだ 子供がどうしたんだろ 聞き取れなかった


「う~……だから、ここを出ていくときは私も一緒に連れて行ってください 離れたくありません」


アリアは、どうやら俺に付いてくるらしい 俺も、アリアと離れるのは寂しいし、一人で出ていかなくて済むのはいいがメルヴィスをどう説得しようかな




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