満月

美術部で絵を描いていた。

高校を出るころには、夕日も落ちて、暗かった。


東の空に、めっちゃきれいな満月。


高校は高台にあるから、とても良く見える。


「あっ、今日は中秋の名月やな~」

って思った。


高校の近くの伊勢寺を通って、家に帰った。

途中で月見団子を買った。


部屋に入ったら


「あっ!あやなっち、帰ってきた」

って、女の子の声、聞こえてきた。


「ただいま~」

って言ったら


「「おかえり~」」

って、2人の女の子の声、聞こえた。


「あれ、今日は2人なん?」


「そうやで~。今日は友達を連れてきたで~」


「友達?」


「そう!今日、月に帰るねん!かぐやちゃん」


「かぐやちゃん?」


「ほら、かぐやちゃん、あいさつしとき」

「あ、はじめまして、かぐやです。今日、これから月に帰るんです」


「えっ?月に帰るんですか?」

「そうなんです~」


「なんでまた?」

「ええやろ!なんでも」

って、いつも部屋にいる女の子に言われた。


「じゃあ、月見団子でも食べますか」

って言って、あやなっちはカバンから買ってきた団子を取りだした。


15個の、ちっちゃな団子を並べた。

パクッ

て、あやなっちは、まず先に食べた。


そしたら

2つの団子

サッ

と消えた。


「「美味しい~」」

って、2人の女の子は言った。


それから順番に、3人で5個づつ食べた。


「月見団子、買っといて良かったわ」

って、あやなっちは言った。


「「ありがとう」」


「これで、かぐやちゃんも月に帰れるな」

「そやな」

って、2人の女の子は、話している。


「ほな、帰るわ」

って、かぐやちゃん。


「また来てな」

「うん!また来るわ」

って、2人でしゃべってる。


「ほな、あやなっち、ありがとう。またね~」

って、かぐやちゃんに言われた。


「またね~」

って、かぐやちゃんにあいさつした。


「ほな、あやなっち、しっかり良い絵を描くんやで!」

って、部屋にいる女の子に言われた。


「わかってるよ」

って、あやなっちは答えた。


フッ

と、2人の女の子の存在感、なくなった。


「あ、そうや!あんた、名前は?」

って、あやなっちは、いつも部屋にいる女の子に聞いてみたけど、答えはなかった。


「ま、えっか...」

あやなっちは、きれいな満月をながめた。


ピュ~~ッ

て、月に向かって飛んで行く人影、見えた。


あやなっちは裏庭で、月の絵を描いた。

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大阪の家は、どこか時空を超える ヤッキムン @yakkimn

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