第54話 志歩の色仕掛けvs優の理性 2

「んっ、ぁ」


全裸の志歩が俺の上で喘いでいる。


理性が崩壊してしまい、俺たちは遂に一線を超えてしまった。


「ダメだっ、志歩っ、もう……!!」


「あぁっ!!」


とは、ならなかった。


そんな妄想を勝手にしていた。


我ながら変態だと思う。


今はリビングで鼻にティッシュを詰め、ボーッとしている。


志歩の上裸を見てから鼻血が止まらなくなった。


貧血にならないだろうか?


違う違う、それよりも……


「暇だ!!」


今日は俺の部活がオフで志歩は朝から昼過ぎまで練習があるので、午前中は俺1人だ。


なーんにもする事がない。


勉強しようとも思ったのだが、近々テストがあるわけでも無いのでやる気が出なかった。


某格闘ゲームも、1人でやっても俺はあまり面白くないと感じる人なので本当にやる事がなかった。


というかさっきのキモい妄想のせいで変な気持ちになってきた。


単純に股間がむずむずする。


そして一瞬だけだが、


「今だったら志歩の下着持ってってもバレないんじゃね?」


という変態を超えた、下衆過ぎる事を考えてしまった。


それと同時に今朝の出来事を思い出して、いよいよ不味い事になってきた。


しかし志歩と同棲してる以上、変な匂いとかを残したく無いので俺はソファーに横になり煩悩を打ち消そうとするのだった。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「ゆーくんっ!起きて〜〜」


「ん……?わぁ!」


横になっていたつもりだったのだが寝てしまったらしい。


目を開けると志歩の顔が真上に見えた。


首下にソファーとは違う柔らかさを感じるので膝枕してくれているのだろう。


志歩の顔が少し火照っているので多分風呂に入ったあとだろう。


「あれ、待って、今何時?」


「だーめ」


「首取れる……」


俺は頭をブンッと勢いよく上げて、志歩の手に掴まれて戻された。


「じゃあ志歩が教えてくれ」


「まだ午後2時だよ」


「もう午後2時!?」


軽く4、5時間は寝ていたらしい。


「志歩、膝大丈夫?疲れてない?」


志歩が帰ってくるのは12時半くらいで風呂とかご飯食べてる時間を考えると、かれこれ1時間近く膝枕してくれてる事になるだろう。


練習してきた後なら、今の状況だとかなり太腿が張ってて辛いだろう。


「だいじょーぶ、ゆーくんこそ辛くないの?」


「なにが?」


「ズボン」


そう言われ、俺は自分のズボンを見た。


するとそこには小さなテントが出来ていた。


「あ……」


寝てる間になってしまった……?


エロい事考えながら寝たから本能的になってしまった……?


だとしたら、俺の身体正直過ぎるだろ。


「な〜に考えてたの?」


志歩がニマニマしながら聞いてくる。


揶揄う気満々だ。


「な、なにも考えてない!」


「やーい、ゆーくんのエッチ〜、変態〜」


言葉で否定しても身体が肯定してるから説得力がない。


「志歩に言われたくない!自分から胸を見せびらかしておいて!」


言われ続けるのも悔しいので俺も反撃に出た。


「うっ………」


すると志歩がボンッという音が聞こえそうな勢いで顔を赤くした。


流石に今朝の出来事は恥ずかしいと思っていたらしい。


「ゆーくんだって今私に見せびらしてるくせに……」


そう言われ、今の状況を客観視してみる。


膝枕されてただけなのに、勝手に局部を立ててる俺。


うん、志歩とやってる事大して変わらんな。


「起きるぞ」


股間にテントを作ったまま話し続けるわけにはいかないので俺は身体を起こした。


「あーん」


そう言って志歩が太腿を押さえた。


その動きに釣られて、志歩の太腿を見ると色々と問題のある状況が広がっていた。


少し大きめのTシャツがスカートみたいになっていて、上手くパンツが隠れている。


そんな感じだ。


「っていうか、そのシャツ俺のじゃね?」


志歩が着ている大きいTシャツは俺のだった。


「ゆーくんの匂いがする〜」


そんな事を言って俺の服に鼻を近づけた。


志歩は露出狂だけでなく、匂いフェチでもあるのだろうか。


「匂い嗅いで無いで着替えてきなさい、目に毒です」


「やだもんね〜」


志歩が拒否したので俺は志歩に近づいた。


「あ、待て」


志歩が小走りで俺から離れた。


「このTシャツちょーだい」


「駄目、返して」


志歩がまた逃げたので、俺は追いかけた。


「もう分かった、あげるよ」


少し追いかけたのだが、ソファーをうまく使われ捕まえられなかったので、俺は諦めてそのシャツをあげる事にした。


「やた〜〜」


志歩がルンルンで自分の部屋に戻っていきリビングに静寂が訪れた。


「……………はぁ」


色んな意味で疲れ、俺は小さくため息を吐いたのだった。

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