第50話 キン、トレ?

「はぁはぁ、キツい」


俺はリビングで志歩に跨がれていた。


「ふぅ、ふぅ、まだっだよっ」


志歩は動くのをやめない。


「これ以上動かれると…やばいっ!」


「あっ!」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

俺はリングの上で鼻血を出してぶっ倒れていた。


先輩とのエキシビションマッチでボコられたからだ。


何も出来ずに、防戦一方だった。


しかも最後に強烈なジャブを顔面に貰った。


鼻血が出ている原因はそれだ。


大体予想はついてたが、やっぱり現役の選手には勝てない。


「大丈夫か、柳」


「大丈夫ですよ」


いつまでもリングに寝そべっていると先輩からそう声をかけられた。


最後のジャブで脳震盪でも起こしたと思われたのだろうか?


「ふぅ、先輩強いですね」


「1年ぶりであそこまで出来る柳も相当なもんだと思うけどな」


試合が始まるまえ、1年ぶりでもパンチの威力は雑魚じゃないとか言っていたが普通に雑魚だった。


やっぱり腕の筋肉量と背筋量が落ちているのだろう。


志歩たちに恥ずかしい姿を見せてしまったな。


奈珠華は喜んでそうだが。


そう思い周りを見ると、1年ほぼ全員が沈黙していた。


志歩が目で大丈夫?と聞いてきているのと、奈珠華が鼻血まみれの俺を見て笑っているのが見えたくらいだ。


やっぱり奈珠華はドSだよ、捻くれてるよ。


「1年ぶりでアイツとある程度試合になるのか……」


理恵先生がそう言った。


「久世先輩って大会優勝してたりするんですか?」


実は久世先輩強い人だったりするのだろうか?


ボクシングは個人競技だから人数が少なくて出られないという事が無いので、大会に出るかは殆ど個人の自由だから、これくらい少人数でも大会に出れない事はない。


「ああ、3回くらいならあるぞ」


まさかの久世先輩強い人だった。


通りであんな鼻血を出すパンチが飛んでくるわけだ。


「ありがとうございました」


「ああ、ありがとう」


挨拶をして。着替えるついでに鼻血を止めようと俺は更衣室へ向かった。


そのままボクシングは何か知れただろうということで今日は解散になったようだ。


俺が部屋に戻るとみんな居なくなっていた。


「志歩、俺今日から筋トレするわ」


俺は志歩とソファーに寝そべりながらそんな話をしていた。


今日も志歩はオフらしい。


最近オフが多い気がする。


「先輩にボコされたから?」


「そう、腕の筋肉が落ちすぎてる」


やるとしたら腕立てとかだろう。


「じゃあ私手伝う!」


何を手伝うのか分からないが志歩が手伝ってくれるようだ。


俺は学校のジャージのままだったので、筋トレを始めた。


「1、2、3、4、5、6、7、8、9っ、10っ!」


流石に普通の腕立て出来な苦なるほでなまってはいなかったらしい。


中学時代は誰かに上に乗ってもらったりしながらやってたので前と比べるとめっちゃ楽に感じる。


あ、そうだ。志歩に俺の背中に乗ってもらおう。


多分体重軽いだろうし、軽いよね?丁度いい重りになるはず。


「志歩〜、俺の上乗ってもらえる?」


「はっ!まさか!騎jy」


「違う」


かなりやばい下ネタが志歩の口から飛び出しそうになったので遮っておいた。


時々、ど下ネタを言おうとする時があるが志歩は変態なのだろうか?


旅行先の風呂でも自ら見せてきたし。


変態の可能性も無いわけではないのかもしれないな。


「腕立てするときに、俺の背中に座ってくれって意味」


「分かってます〜」


背中全体に志歩のなんともいえない柔らかい感触が広がった。


それと同時に女子の身体は軽いってこういうことを言うんだなと実感した。


何キロあるのか知らないが全然重くない。


「よし、じゃあやるか、と言いたいんだけどそれ座ってるじゃなくて跨ってね?」


「別にいいじゃん」


そう志歩は俺に腰掛けているのではなくガッツリ跨っていた。


背中に広がった柔らかい感触は志歩の内腿とお尻の感触だったようだ。


「もしかして私重かった?」


「いや、ぜんっぜん重くないよ」


ここで重いとか言ってみようものなら許嫁解消案件だ。


それを行動で証明するために俺は腕立てを始めた。


「1、2っっっ!」


2回目になった途端志歩が俺の背中で動き始めた。


背中でお尻がグニグニと動き、身体のある部分に血液が集中しそうになった。


「頑張って〜」


そう言われて俺は煩悩を振り払うために腕立てを再度開始した。


「ふぅふぅ」


俺の腕は10回を過ぎたあたりで限界に達していて動きを止めていた。


「ふぅ、ふぅ、まだっだよっ」


志歩は動くのをやめない。


「これ以上動かれると…やばいっ!」


「あっ!」


俺の腕がついに限界を迎えて力が入らなくなり、身体が志歩と床に挟まれた。


「ぐぇえ」


志歩も勢い余って俺に重なるように倒れてきている。


「ふぅぅ〜」


俺の背中に乗ったまま休憩し始めた。


あと、体勢が変わったせいで志歩のぺったりとした股ぐらが俺の背中に押し付けられていた。


そのことに気づいしまった俺は、また下半身に血が集まりそうになった。


さっきから下半身に血が集まりそうになり過ぎだ。


これでは筋トレではなくチントレだろう。


「ちょっとどいてぇ」


志歩がいつまで経っても退く気配がないのでそう言った。


しかしなかなか退けようとしない。


なんなら今は乗っているというより俺に抱きついている。


やたらと抱きつきたがるが、志歩の前世はコアラか何かなのだろうか?


そして強引に首を後ろに向けて志歩の顔ふやけたを見ると、やっぱり俺は抵抗する気力を失うのであった。


後書き

https://kakuyomu.jp/works/16817330666397687409


オフ会行ったら特殊性癖持ち女子しかいなかった〜しかもルームシェアすることになった件〜


こっちも連載しているので読んでみてください!

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