第22話 男だもん仕方ないよね?

「次の時間は体育だから早く移動するように〜」


そう、今日は高校になって初めての体育だ。


最初はバスケをやるらしい。


着替えるために女子が別室に行くと


「志歩さんのジャージ姿どんな感じなんだろうな」


「絶対太ももとかエロいだろ」


1部がそんな話をしていた。


すると周りの男子達も話に入ってきて


「志歩さんって胸どんくらいあんだろうな」


「パッとみ、周りと同じくらいのだけど脱いだらすごいのかな?」


「やめとけ(笑)」


女子が聞いたらドン引きするであろう会話を始めた。


「なあ、柳。志歩さんの胸ってどんくらいあると思う?」


そして俺にも火の粉が飛んできた。


「幼馴染だから見たことくらいあるだろ?」


「いや?見たことないよ」


てか、幼馴染だからって何だよ!


お前らの幼馴染像はどうなってんだ!!


「本当か〜〜?」


「本当本当」


「じゃあ体育終わりに女子に聞いてみるか」


「それはやめとけ?志歩に伝わったら大惨事だぞ?」


彼らは何を考えているのだろうか?


怖すぎる。


「おーいお前ら。早くしろ〜」


廊下から理恵先生の声が聞こえた。


「はーーい」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「よし、みんな来たな。最初の体育はバスケだ!準備体操をしたらチーム分けするからな」


「志歩さんのジャージ姿なんか色々エグいな」


「分かる」


確かに志歩のジャージ姿は凄かった。


太ももめっちゃムチムチしてる。


端的に言ってエロい。


でもさ、それを口に出して聞かれたりでもすればおしまいだよ?


準備体操中も志歩に対する視線は凄かった。


男子の半分くらいは志歩を見ている。


準備体操後


「脇がーー」


とかふざけた事を言ってる奴がいたが聞かないことにした。


女子の試合が終わると


「運動神経めっちゃ良いじゃん」


「いつも踊って歌ってるから体力凄いね!!」


女子達に囲まれていた。


志歩は照れくさそうにしていた。


一方男子はというとーー


「なんか凄かったな…」


「うん…めっちゃ揺れてた」


下ネタ話に花を咲かせていた。


「次は男子だぞー準備しろー」


下ネタ談義を終わらせて準備に入ると、1部の男子が燃えていた。


「志歩さんに良いところ見してやる」


案の定だった。


(俺は戦犯しない程度に頑張るか〜)


そんな意気込みで臨んだ試合。


俺は試合終了後、女子に話しかけられていた。


「柳くんって運動得意なんだね!ダンクシュートとかびっくりしたよ!」


何故こうなったか説明しよう。


まず、戦犯しない様に頑張ると言っていたが俺が戦犯をした。


シュートブロックに失敗して点を取られてしまったのだ。


そして挽回しようと本気でやり始めた結果、楽しくなってしまい1人でゴールを量産した。


その流れで最後にダンクシュートを決めたのだ。


一言で言ってバカである。


言ってる事と真逆のことをやりまくった。


「優くん凄いね!」


志歩が話しかけてきた。


その瞬間男子から殺意の籠った視線を向けられた。


「あはは〜ありがとう」


教室に戻ると


「柳!裏切ったのか!?」


「おのれ柳〜」


男子達に恨み辛みをぶち撒けられていた。


「にしても志歩さんと幼馴染っていいよなー」


(本当は許嫁だけどね?)


「でもアイドルだから付き合えないのも辛いっちゃ辛いよなー」


(もう付き合う以上のとこまで行っちゃったよ)


俺への追及が終わると、


「いや、マジで女子達の胸と太もも凄かったわ。今日はあれ見れただけで十分だわ」


全く理解できない気持ちという訳でもないから、俺も適当に同調しとこう。


「分かるわ〜」


結構な声量でそう言った。


その瞬間


「ガラガラガラー」


教室のドアが開き女子が帰ってきた。


女子の多くが冷たい目をしているのは先ほどの会話が丸聞こえだったからだろう。


志歩もいつになく冷たい目で俺を見てきた。


これは家に帰ったら何か言われるな。


(勘弁してくれ……)



後書き


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