第13話 アイドルって辛いね

「ねぇねぇ!志歩さんって普段どんなもの食べてるの?」


朝から色んな人に囲まれていた。


まあ、超人気アイドルだから仕方がないとはいえ、学校じゃあ気が休まらんだろうな。


男子は遠くから羨ましそうな目で女子を見ていた。


昨日は家に即行で帰ってしまったので聞けなかったが、朝は家に逃亡するわけにもいかないので質問に答えるしかない。


「あははは~」


一方、志歩はというと戸惑って苦笑いを続けるだけだった。


先生が教室に入ってきたので、女子たちからの質問ラッシュが終わった。


「おはよう!」


「おはようございます」


相変わらず元気な先生だ。


朝からどうやってあの声量を出せるのやら。


一時間目はロングホームルームだった。


委員会とか学級委員を決めるらしい。


「じゃあ、学級委員になりたい人挙手!」


「......」


「まあそうなるだろうと思って私はあるものを用意してきた!」


そう言って先生が取り出したのはくじ引き箱だった。


「この中に先っぽが赤く塗られた割りばしが4本入っている。赤い割りばしを引いた4人はそのなかで役割を決めなさい!」


このクラスは39人いるので、当たる確率は約十分の一だ。


残念だが俺は運が強いのでな!当たるわけがない!


というかクジで学級委員を決める学校始めてみたよ。


そんなことを思った10分後、俺はみんなの前で話していた。


「前期委員長の柳優です。よろしくお願いします」


「副委員長の水城志歩です!よろしくお願いします!」


(どうしてこうなった…)




まず、何故かくじを引く順番だけ出席番号順にされて、頭文字が や だから最後に引くことにされた。


そこまでは良かった。


問題はここからで、前の人が順々に引いていったのだがいつまだ経っても赤割り箸残り1本が出ないのだ。


3本は知らない男子2人と志歩が引いていた。


遂に当たりくじが出ないまま俺に回ってきてしまい、俺は赤割り箸確定クジを引くことなったのだ。


その後、4人で役割を決めることになったのだがそこでもまた問題が発生した。


男子2人が志歩と委員長、副委員長になりたいとほざき始めたのだ。


確かに志歩は可愛いしお近づきになりたいというのは分からないでもない。


そのまま2人はガチ口論を初めて、最終的に志歩にどちらと組みたいかと言う質問をしたのだ。


結果志歩はニッコニコで枠の外にいた俺を指名して一緒に学級委員長をやる羽目になったのである。


一言で言って最悪だった。


男子2人からは凄い嫉妬が籠った目で見られ、志歩は「これで一緒だね」と俺に耳元で囁いてきて、男子2人の嫉妬に油を注いだ。


そして今に至るわけだ。


今もあの2人を含めたクラスの男子ほぼ全員から嫉妬の目を向けられている。


「こんな美人と一緒仕事出来るなんて良かったな!柳!」


先生も先生で物言いがど直球だった。


「あ…はい…」


(いや、良かったけど!何をやらかすか分からないから心配だったけど!)


俺は男友達、龍馬以外作れなくならないだろうか?


純粋に不安になった。


「じゃあ、2人は学年主任の先生に学級委員のメンバーを伝えてこい!」


「はい…」


教室から出るまで男子たちに見られ続けられた。


廊下でも他のクラスの人からチラチラと見られて落ち着かない。


「あれ、鑑志歩じゃない!?」


「うっそ!?この学校にいたのかよ!?」


志歩が居ることに気付かなかった生徒も志歩の存在に気付き始めてさらに騒がしくなり始めた。


それと同時に


「隣のやつだれ?」


そう言う声が少し聞こえた。


(ですよね〜やっぱりそうなりますよね〜)


教室が廊下の1番奥だったことが悔やまれる。


職員室について学年主任に伝えて、小走りで教室に戻った。


その後は何も変わりなくホームルームが進んだ。


ホームルームが終わるとやっぱり俺と志歩の席に人が集まってきた。


「おい、水城さんとどういう関係なんだ?」


「普通に友達」


「そんなこと言わないでよ〜、もっと深い関係じゃない」


「!?」


(志歩…変なこと言わないでよ…)


「どんな関係なの!?」


「幼馴染!」


「なんだ、そう言うことか。なら仲良いのも納得だわ」


「あの志歩さんと幼馴染とか良いな〜」


志歩がまさかの嘘をついて誤魔化した。


(ナイス!志歩!)


今回ばかりは志歩の機転が良かった。


「志歩、ありがとう。嘘ついてくれて助かった」


みんな席に離れて行った後に、そう小声で伝えると志歩は少し悲しそうに笑った。




後書き


今まで少し本文短すぎると思ったのでこれから少し長くしたいと思います!










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る