第6話 天使が出てきた

流石に2人で同じ部屋で寝るわけにもいかないので俺は自分の部屋、志歩さんはリビングに布団を敷いて寝てもらった。


ベッドがあるのに何で布団があるのだろうと、前に思ったが今思うとこの為のものだった。


次の日も志歩さんが暴走し、俺が止めることの繰り返しだった。


ここに来て思ったのがバレないようにするの無理なんじゃないかということだ。


家の目の前には学校と駅がある。


当然だが人通りは多い。


しかも、志歩さんがどこの高校に行っているのかも知らない。


京葉高校ならまだどうにかなる可能性があるが、正直あの能天気な感じだとそんなに頭良くないんじゃないかと思っている。


「志保さんってどこの高校行ってるの?」


「目の前の京葉高校だよ!」


「マジか」


意外と頭良かった。


「なに~?そのもっとバカだと思ってたみたいな顔は!」


「いや、だって見るからにバカそうじゃん」


「ひどいっ!」


同じ学校ってことは隠し通せる可能性があるってことだ。


あとは、志歩さんが隠す気あるかだな…


「あの〜、志歩さんも今年入学じゃないですか。学校では変な絡み方やめてくださいね」


「それはどうしようかな〜?優くんが私の事名前呼び捨てにしてくれたら気をつけようかな〜」


「別に志歩さんが隠したくないならいいけどスキャンダルで困るのも志歩さんだよ?」


「でも、スキャンダルになったら優くんにもヘイトが向くんじゃない?」


確かに…


っていうかこいつ自分のスキャンダルの事とか盾にして俺に言うこと聞かせようとしてるだろ!!


でも言ってる事間違えてはないから従うしかないんだよな…


「分かった。志歩って呼べば良いんだね」


「この呼ばれ方懐かしいなぁ」


志歩が口のなかでボソボソっと何か言った。


「なに?」


「いや~何でもないよ~」


「志歩、絶対に情報漏洩しないようにしてくれよ」


「は~い」


本当に分かってるんだか…


「京葉高校は制服じゃなくて私服だから良いよね~」


「まあそれは分かるけど、変な服着てくなよ?」


「私もTPOくらい弁えてます~」


「あっ、そういえば今日の朝ごはんの材料無いんですよ」


「疲れてるだろうし今日の朝は大丈夫だよ」


とは言いながらも俺は滅茶苦茶腹が減っていた。


何せ昨日は引っ越しに疲れ切ってしまって夕飯も食べずに寝てしまったからな。


「将来の奥さんとして料理の腕前は見せておきたいので、今から一緒に買い物に着いてきてくれませんか?」


「あっ、うん。分かったよ」


「顔赤いけどどうしたの?」


「いや、大したことじゃないよ」


こんな可愛い、ましてやjkアイドルに未来のお嫁さんとか言われたら誰だって気恥ずかしくなる


「じゃあ着替えてくるね」


そう言い俺は着替えてきた。


リビングに戻ると志歩はまだ着替えてるようだった。


(志歩はどんな服を来てくるのだろうか?)


流石に変装はしてくるだろうから、どんな服になっているの正直楽しみだ。


「着替えて来たよ~」


ごくっ


そして現れたのは白いワンピースに白いスカートをはいて、白一色で固めてきた天使だった。


真っ白の清楚感の溢れる服にキレイな金髪がとてもよく似合っていた。


「いや!変装は!?」


「そのためにここにあるメガネを着けていくんです!」


「絶対にバレるだろ」


「それはどうでしょうか?いつもの能天気な顔に知性が宿った感じが出たら結構変わるでしょ!」


「たしかに!!」


志歩はいつもの凄い能天気な顔をしている!


メガネかけたら意外とバレないかも!


「なんか悲しい」


「能天気なのは事実だろ。自分でも理解してもらっていたようで良かったよ」


「ひっど~い!今日の買い物の荷物、全部優くんにもってもらうから!」


「それは言われなくてもやるぞ」


「えっ」


「えっ」


いや、何?


「じゃっ、行こ!」


「あぁ」


マジであの間なに!?


そうして俺たちはヒヤヒヤする買い物へと出掛けたのであった。





後書き

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