第5話 それは先に言って?

「どうも。また会いましたね!」


そう言って、例の金髪美少女が顔を出した。


(なんで俺はあの時気付かなかったんだ?)


自分の鈍感さにびっくりした。


「今日から優くんの許嫁やらしてもらいます!

水城 志歩です!よろしくお願いします!」


許嫁になる気満々だった。


「柳 優です。こちらこそよろしくお願いします」


「あの、両親はどこに?」


「私をここまで送り届けて帰りました!柳さんなら大丈夫だろうとか言って帰っていきました!」


大丈夫ってなに?


一応、俺も健全な男子高校生だから大丈夫だとはかぎらないんだが?


「今、大丈夫とは限らないだろとか思いました?」


エスパーかよ。


「そこはご安心ください!もし溜まっているのなら私の身体を滅茶苦茶におか」


「ストップ!今、色々問題のある発言しようとしてただろ!」


ナンパから助けた時はそうでなかったが、とんでもない輩が許嫁になってしまったのかもしれない。


「冗談はさておき、部屋入りますね」


そう言い家の中に入っていき、俺の部屋を物色し始めた。


ん?


「おい!何をしてるの!?」


「男子の部屋恒例のエロ本探しです!」


「世の中の男子高校生泣くぞ。俺の部屋漁っても何も出てこないからいいが、他の人の部屋を漁るのはやめてやれ」


案の定とんでもない事を考えていた。


(残念だが俺はネットで買う系なんでな)


ふと、見ると志歩さんはまたどこかへ行っていた。


落ち着きなさ過ぎだろ...


「次はどこを物色してるんだ?」


そう言い部屋を出たが志歩さんの姿はない。


リビングに戻ると志保さんがソファーに寝転んでいた。


「いや、マジで何してるの?」


「うにぁぁぁ」


いきなり足に抱きついてきた。


「うわ!ちょっ、危ないって!」


そのまま転んで志歩さんはの上にダイブ…


とはならなかった。


「なんで倒れないの〜〜」


前にも言ったが俺は格闘技をやっていたことがあって師匠に体幹も鍛えられたので簡単には倒れないのだ。


「簡単には倒れないの体幹してるんでな」


「というかさ、優くんってテレビ見ないの?」


「ああ、あんまり見ないな。基本的に1人で家の外ブラブラしてるか、ゲームしてるからな」


「やっぱり変わってないね」


「ん?」


「いや、何でもないよ。じゃあさ、アイドルとか全く興味ない?」


「AKDみたいな名前のところしか知らんな」


「この人見たことある?」


そう言ってある写真を見してきた。


ラフな格好をしてステージで踊っている志歩さんが写っていた。


「志歩さんじゃん」


「ここまで言っても何も気づかないの?」


「??」


「私、アイドルやってる」


「は?」


(それは先に言ってよ?)


「バレたら大スキャンダルじゃん。どうするの?」


「最近ストーカーとかがいて困ってるんだよなぁー。誰か守ってくれないかなー」


この人、棒読み演技始めたぞ。


「け い さ つ」


「警察が介入すると私たちの関係バレちゃうかもなー。そしたら大変だなー」


「うっ、確かに」


「優くんが私の事守ってくれると嬉しいなぁー」


そう言って、上目遣いで俺を見てきた。


俺に拒否権なくないか?


ほぼ初対面とはいえ、こんな美少女に上目遣いされたら断れないんだが?


「分かった」


この瞬間、俺は許嫁関係を解消することが出来なくなった。


「やった!これからよろしくね!!」


「スキャンダルは避けような」


このハイテンションっぷりを見ていると少し心配になるものがあった。



後書き


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