第7話秘密を知るもの
「そういえばかずくんがこの前トーナメントの戦いでやってたあれって何?」
「あれって何だよ」
「ほら2人目の男子生徒と戦ってた時相手に直接触れてないのに相手の体が切れてたから」
「ああ、あれはただ何もないところを剣で切ってその風圧で敵を攻撃したんだ」
「つまり超高速で剣を振って相手に攻撃を加えたってこと?」
「簡単に言うとそんな感じだ」
「まぁあの技は飛んで行く方向は決められるんだけど具体的にどこにどう飛んでいくっていうコントロールはできないからまだまだ練習は必要だけどな」
「飛んでいく方向が決められるだけでも十分すごいと思うけどそれだけじゃだめなの?」
「別にダメってわけじゃないんだが俺が向いてる方向にまっすぐにしか飛ばないから地味に汎用性が低いんだよな」
「それでも威力は十分にあるから使えるっちゃ使えるんだけど」
「そういえば葵が戦いで使ってたあの魔法いつ覚えたんだ?」
思い出したような口調で言う。
「かずくんと一緒で私も地道に修行を続けた結果だよ」
自慢げな口調で言う。
「って言ってもあの戦いの最後に使った魔法はついこの間習得したばっかなんだけどね」
「最後に使った魔法って炎の大きな玉みたいなやつか?」
「そうそうあの魔法って少しでも魔力コントロールをミスすると、形が崩れちゃうから気をつけながらやらないといけないんだ」
そんな雑談を帰り道を歩きながらしていると。
後ろから何者かに襲われ俺の意識はそこで途絶える。
目を覚ますと目の前にいる知らない男が俺たちを不気味な笑みを浮かべながらみている。
「お前は誰だ!」
「まあまあそう慌てるなってそこにいる彼女が起きたら説明してやるよ」
そう言われ葵が横になっていることに気づく。
「葵!」
「大丈夫か葵なぁ葵!」
「お前葵に何をしたんだ」
自分でも驚くほどに冷静な口調で言う。
「大丈夫だってついさっきまでの君と同じように眠りについてるだけだからもうじき起きる」
そう言っている男は見たことがないマークが入った黒いマントを身につけている。
こいつは一体何者なんだ何のために俺たちを眠らせたんだ?
馬車に乗せられてるみたいではあるけど。
俺がしばらく考えていると隣で寝ている葵がゆっくりと目を覚ます。
「あれここどこ?」
少し寝ぼけた口調で言いながらあたりを見回す。
「ようやく目が覚めたか」
「あなたは誰なんですか?」
「それじゃあ説明を始めるとするか」
葵の疑問の言葉には一切答えず俺の方に目を向ける。
「まず俺が何者かについてだが俺はアレスというメンバーの1人」
「そんなメンバーの1人が何で俺たちを誘拐するんだ!」
「誘拐なんてずいぶんと人聞きの悪いことを言うじゃないかと言いたいところだが、何も知らない君たちからしたらそう映るのも仕方がない」
「君たちのことを誘拐させてもらったのは他でもない!」
「君たちのことを調べさせてもらうためさ」
「俺たちに何をするつもりだ!」
「君たち2人はお互いに呪いをその身に抱えている」
「しかも君の場合は生まれつき呪いを持っている上にそこにいる女の子の呪いを半分以上体に取り込んで引き受けたんだからただものじゃない」
「どういうこと私は生まれつき呪いを持って生まれて…」
俺は葵の顔の前に手をかざし眠らせた。
「なんでお前がそのことを知っている!」
「おっとその力が女の子から引き受けた呪いの奪う力か」
「その力で女の子の体力を奪い眠らせたってわけか」
「悪い悪いその女の子の方は知らなかったんだったな」
「そんなことより俺の質問に答えろなんでお前がそのことを知っている!」
「どうしようかな教えてもいいんだけどただ教えるだけじゃつまんないな」
ふざけた口調で話をはぶらかすように言う。
「そんなことより君の精神力には恐れ入ったよ」
「10歳の時にもう一つの呪いを体に取り込んで普通の生活を送れてるなんて異例中の異例だ」
「普通だったら1つの呪いを体に宿してるだけでもまともな状態でいられるかわからないのに」
「君はそれを当たり前のように受け入れ理性をコントロールしている」
「まさに強靭なメンタルだ」
「だから俺をお前たちの組織に連れて行って人体実験をしようとしてるのか」
「まあ簡単に言うとそういうことだ」
「俺がお前に誘拐される理由はわかったが何で葵まで?」
「そんなの決まってるじゃないか君が書き換えた記憶が本当に消えてるのか確かめるためさ」
「っていうか何で俺たちがそもそも呪いを持ってることをお前は知ってるんだ?」
疑問と怒りを含んだ口調で尋ねる。
「それはちょっと教えられねぇなさすがに俺の首が危なすぎる」
「それにしても君たちの情報を集めるのはすごい大変だった」
「さすがに1人で2人分の情報を集めるのは無理だったからいろんな仲間に協力してもらったんだ」
「お前の他にも何人か仲間がいるのか?」
「さてそれはどうだろう、今回限りのスポットで雇ったヒットマンっていう可能性もなくはないと思うぞ」
「きっと今回のこの研究は世界全体にとって有益なものになる」
「だから俺たちの実験に協力してくれ」
「どこの誰ともわからないお前にはいそうですかって言って素直に協力できると思うのか」
「じゃあ仕方がない実力こうしだ」
そう言って相手は剣を抜く。
俺は横で寝ている葵を片手で抱きかかえ後ろにジャンプしその馬車から降りる。
ひとまずここから逃ねぇと。
そもそもここがどこだか分かってないからどこに向かって走ればいいんだ。
「せっかく見つけたモルモットなんだそう簡単に逃がすわけにはいかない」
たかだかに笑い声をあげながら追いかけてくる。
いやここがどこだかなんて関係ない今はとりあえず距離を取ることだけ考えろ!
「いつまでそうやって逃げ切れるつもりでいる!」
俺は飛んできた魔法の攻撃を避ける。
あいつ剣だけじゃなくて魔法も使えるのか!
「さすがは学院の中での戦いで優勝しただけのことはある」
「見てたのかあの戦い!」
「ああ、お前たちを連れて行くにしてもしょうもないやつを連れて行ったら怒られるからな」
「だから誘拐する前の下調べってところだ」
「それにしても相手の方をまともに見てないのに攻撃を避けられる直感力と俊敏さはやっぱり以上だな」
このままあいつに追いつかれるにしてもなるべく被害を出さねぇようにしねぇと!
「オラオラどうしたどうした、お前がただ背中を向けて走ってるだけじゃあ俺は倒せねえぞ!」
俺は立ち止る。
「いきなり立ち止まったりしてもう逃げることを諦めたのか?」
「あーこのままずっと逃げてるだけじゃ埒が明かなくてめんどくさいからな」
言いながら相手の方に顔を向ける。
「それにここなら広いから思う存分お前も俺も戦えるだろう」
「それはそうとその女を抱えたままじゃ戦いにくいだろう一旦話したらどうだ?」
「手放した瞬間にお前が葵だけでも連れ去ろうとしに来るかもしれないからな」
そう言いながら剣を構える。
「大丈夫だそんなに心配しなくてもお前は片手で相手をすれば十分だ」
剣の先を相手に向け宣言するように言う。
「それはそれはだいぶ舐められたもんだな!」
言いながら勢いよく切りかかってくるが片手でその攻撃をガードする。
「だがそんな状態でいつまで攻撃に耐えられるんだろうな」
相手は畳み掛けるように攻撃をしてくる。
その言葉には何も答えず全ての攻撃をはじき返す。
一瞬の隙をついて相手の懐に入りまっすぐ剣で突き刺そうとするがその攻撃を読まれてしまい避けられる。
「ふう今の一瞬で攻撃に対応して攻撃を仕掛けてくるとはさすがだな」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます