第6話魔法剣

俺の戦いは終わり今度は女子グループの方で葵が戦う番だ。


葵は戦いが始まる前に俺に言っていた通り前よりも炎系の使える魔法が増えている。


戦いが始まる前までどうなるんだろうと少し気になっていたが意外にも圧倒的な力で倒した。


それからしばらくしてまた俺の番が回ってきた。


フィールドの上に立つ。


「お前剣の腕は相当経つみたいだが俺はさっきのやつみたいにそう簡単にはいかないぞ」


「そうかそれなら十分警戒しながら立ち回らないとな」


相手は剣を構えるが俺はさっきと同じように剣を構えずしばらく様子を見る。


ゆっくりと距離を詰めていきながら様子を見る。


相手がここだと言わんばかりにいきなりスピードを上げ剣を振り下ろしてくる。


その攻撃をギリギリで避けようとするとわずかにその剣の先が俺の頬に触れる。


「確かに自分で言うだけあってさっきの相手とは少し違うみたいだな」


言いながら腰に刺している剣を抜く。


「さすがにお前も俺相手では余裕なくちょうでずっと喋ってはいられないだろう」


不敵な笑みを顔に浮かべながら言う。


「いや…」


「それじゃ俺に勝てねえよ」


言った次の瞬間俺は何もない空間を剣で切った。


すると相手の両方の腕に切り傷ができる。


「なんなんだ今のは俺は今お前の剣に一切触れてないはずだ!」


「さあ何でなんだろうな」


「まさか魔法と剣の組み合わせの攻撃か!」


「そうこれは俺が生み出した魔法と剣の組み合わせの攻撃だ」


もちろん俺は魔法は一切使えないので嘘だが。


だがこう言っておかないと後々面倒くさそうな感じがする。


すると敵は俺から距離を取るように後ろにジャンプする。


俺はもう一度同じ攻撃を相手に放つ。


相手にその攻撃がもろに当たったわけではないが、それでもさっきと同場所に空気が触れ傷ができている。


「どうやら技の射程距離範囲を見誤ったみたいだな」


「うるせえうるせえうるせえよさっきから余裕こきやがって!」


相手は怒りの声を上げながら俺との距離を詰め手に持っている重たそうな剣を振り下ろしてくる。


俺は相手が振り下ろしてきた剣を少し右にずれて避け一瞬バランスを崩したタイミングで俺は足を引っ掛け場外へと突き落とす。


「お前今のは卑怯だろう」


場外に落ちた相手の方に顔を向ける。


「お前先生のさっきのルール説明聞いてなかったのか?」


「この戦いは何でもありだって」


「それにしたって今のは!」


「ああ、確かに今のは検視としてまっすぐな戦い方ではなかったかもしれない」


「でも場外に突き落とされて恥をさらすのが嫌なんだったら自分が使えない重たい武器をわざわざ選んで使おうとするんじゃねぇよ」


「そうだそうだ」


生徒たちから同意する声が上がる。


その相手は悔しそうに俺のことを睨みつけながら歯を食いしばってその場から去っていく。


それから俺と葵は順調に勝ち続けていった。



「随分と余裕でここまで勝ち残ってきたみたいだな」


そんなことを言いながらフィールドの上に上がってきたのはこの前俺と葵に絡んできた男子生徒だ。


「あの時の屈辱を晴らしてやる!」


俺に剣の先を向けながら近づき言う。


あの時の俺は途中から記憶が飛んでいるので記憶が曖昧な部分があるがこいつは腰を抜かしてそそくさと逃げてたような気がする。


気がするというか確実にそうだその部分ははっきりと覚えている。


もしかしたらあの時の光景が現実味がなさすぎて夢だと思ってしまっているのかもしれない。


普通に考えてそっちの方が可能性としては高そうだ。


あの時の俺は途中から記憶が飛んでいるので記憶が曖昧な部分があるがこいつは腰を抜かしてそそくさと逃げてたような気がする。


気がするというか確実にそうだその部分ははっきりと覚えている。


もしかしたらあの時の光景が現実味がなさすぎて夢だと思ってしまっているのかもしれない。


普通に考えてそっちの方が可能性としては高そうだ。



剣を抜いて俺に切りかかってくる。


攻撃を後ろにジャンプして避けたタイミングでどこかに隠し持っていた石を投げてくる。


飛んできた石を空中で剣を構え切る。


「とっさの判断で飛んできた石を剣できるなんてさすがここまで勝ち残ってきただけのことはある!」


軽く手をたたきながら馬鹿にした口調で言ってくる。


「思ってもないこと言いやがって」


「さてそれじゃあお前が手下を引き連れてなくても十分戦えるってところを見せてもらおうか」


「言われなくても見せてやるよ俺の剣の腕を!」


そういったと同時に俺との距離を一気に詰め素早い動きで切りかかってくる。


なるほど確かに今までこのトーナメントで戦ってきた相手の中で一番素早い動きだ。


攻撃を剣でガードする。


「やっぱり今の攻撃だけじゃびくともしないか」


「諦めろお前じゃ俺にどう頑張ったって勝てねえよ」


「そう言われてはいそうですかってのうのうと引き下がる相手がどこにいる!」


「それもそうだな」


言いながら相手に向かって剣を振り下ろす。


不気味な笑顔を浮かべながらその剣を避ける。


「確かにお前の剣は早いが慣れてしまえばどうってことはない」


その言葉には何も返さず相手の右肩に向かって剣を振り下ろす。


「うわ!」


「どうした俺の剣の速さなんて慣れてしまえばどうってことないんじゃなかったのか?」


「やっぱりお前は強いな」


「この前お前たちに何も考えず突っかかっちまったことは謝る」


「だけどな…」


俺の耳元まで近づきつぶやくように言う。


「お前が呪いの力を持ってるって事はもう分かった」


「この情報を周りの先生たちに言いふらしたらどうなるかな」


俺はその言葉には一切何も返さず後ろに距離を取り券を構え直す。


「好きにすりゃいいさ、何があろうと俺は自分がやるべきことをやるだけだ」


「ずっとこんな雑談をしてても仕方がねぇしそろそろ決着をつけようぜ」


そう言いながら手に持っている県を構え直し剣に炎を宿す。


「それが俗に言う魔法剣ってやつか」


「そうだ一見何の変哲もないただの剣に魔法を宿すことでその力を倍増させる」


次の瞬間俺との距離を一気に詰め渾身の力で切りかかってくる。


攻撃を剣でガードし押し返す。


次の攻撃を素早く繰り出すが冷静にその攻撃を避ける。


相手が俺に向かって再び振り下ろしてきた剣を、剣で弾くと空中で1回転をし地面に突き刺さる。


圧倒的な力の差に絶望したのか膝から崩れ落ちる。


絶望した表情を顔に浮かべている相手の耳元で俺は小さくこう言った。


「お前があの時見てたのは俺が作り出した幻覚だ」


「何だと!」


「だから俺が呪いの力を持っているというのもお前のただの思い込みだ」


「そうか…」


「だがだからと言ってこの戦いを諦めるわけにはいかない!」


そう言って服の裾の部分に隠していた小さなナイフを素早く取り出し攻撃をしようとしてくる。


俺は容赦なくその相手の顔面を勢いよく殴った。


すると殴り飛ばした相手は遠くの方に置かれている看板に突っ込んだ。


観客席に座りその光景を見ていた生徒たちは驚きの声を上げる。


「このトーナメント戦の優勝者は和也」



能力テストの授業が終わり帰る準備をしていると、何人かの生徒たちが時々俺の方を盗み見るようにしながら何か話している。


特に興味はないので気にせずいつも通り家に帰る。



「ねえねえかずくんせっかくだから優勝したお祝いにどっか行こうよ!」


帰り道を歩いていると嬉しそうにそんなことを言う。


「葵も女子グループの方で優勝してなかったか!」


「うんだから一緒にお祝いしよう」


「まあ考えとく」


「えー今から一緒に行くんじゃないの」

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