第2話禁忌の森

「さて入学式もスキル測定も終わったところで早速授業を始める」


「今回の授業内容は呪いについてだ」


「呪いは様々な原因でかかることがある」


「同じように呪いにも様々な種類がある」


「1つ共通していることがあるとすれば、 呪われた代わりに呪いの力を習得することができるってところだ 」


「だがここから先が重要だよく聞いておけ」


「呪われた場合望んでも望まなくても呪いの力が呪われた本人に宿る」


「すると呪いの力を得た代償を払わなければいけなくなる」


「あの先生その呪いの代償っていうのは例えばどんなのがあるんですか?」


1人の男子生徒が手を上げ先生に質問の言葉を投げかける。


「それは呪いの種類によって様々だがそうだな…例えば目や耳両手両足を奪われたり」


「後はスキルが習得できなくなったり魔力を奪われたり本当に様々だ」


「呪いのことについては研究が進められているもののまだ完全には解明されていない」


先生がそう言うと周りにいる生徒たちは口々に言葉を口にする。


「目とか耳を奪われるってやばくない?」


「やっぱり奪われる時って激痛なんだよね多分?」


先生は話している生徒たちの意識を授業に戻すように手を3回叩く。


「はいはいおしゃべりはそのくらいにして話を戻すぞ」


「とりあえずここまでの話をまとめると呪いは誰にでもかかる可能性があるってことだ」


「くれぐれも立ち入っちゃいけない禁止とされている場所に入ったりするなよ」


「そうすれば呪いにかかって戻ってくるどころか生きて帰ってこれるかどうかもわからない」


「もし仮にこの場所に大人と一緒に入ったとしても生きて帰ってくることは非常に難しいだろう」


「授業はこれで終わりだ」


そう言って先生は教室から出て行く。


「かずくん私と一緒にお昼ご飯食べない?」


「かずくんの分のお弁当もちゃんと作ってきたから」


「ああ、分かった」


軽く言葉を開始椅子から立ち上がる。


「それで弁当食べるのはいいけどよどこで食べるんだこの学校に弁当食べる場所あるのか?」 


一切この校舎の見学をしていないのでどこに何があるかも分かっていない。


「とりあえずわかんないけど歩いてればきっといいところが見つかるよ」


葵は何の根拠もないことを自信満々に言いながら教室の外に出る。


俺はその後ろをついていく。



「この学校って意外と広いんだね!」


嬉しそうに言いながらあたりを見回す。


「あそこにベンチがあるよかずくんあそこで食べようよ!」


そう言って俺の手を引く。


「分かった分かったからそんなにはしゃぐな!」


「はしゃいでないよ嬉しいんだよ!」


言いながらベンチに座る。


「どっちも同じだろ」


「いいからいいから座って座って」


手で叩きながら座るように促してくる。


「とりあえずわかったから手を離してくれ」


「あ!ごめんごめん」 


手をつないでいることに気づいていなかったらしく少し恥ずかしそうに頬を赤らめつないでいた手を離す。


「弁当開けてみて!」


なぜか嬉しそうにワクワクした表情を浮かべ促してくる。


言われた通り弁当の蓋を開けてみる。


すると中は色とりどりに飾り付けされている。


「すごいでしょ!」


嬉しそうな笑顔で地震ありげな口調で言う。


「本当葵って料理と魔法だけは得意だよな」


弁当に入ったかぼちゃをスプーンですくい一口食べたところでそう言う。


「そんなこと言うんだったらもう食べなくていいよ!」


俺の膝の上から弁当が奪われてしまう。


「分かった分かった俺が悪かったからその弁当返してくれ!」


「もういいもんかずくんはそこら辺に生えてる雑草でも食べてればいいんだよ」


「俺はヤギじゃねえんだからそんなので食いしのげるわけねえだろう」


それからしばらく時間をかけてなんとか許してもらい弁当を食べることができた。


「おやおや誰が座ってるのかと思ったらこんなところに無能な学生が座ってるなんて気配がなさすぎて気づかなかったよごめんごめん」


明らかに煽る口調でそう言ってきているのは同じクラスの生徒だ。


「それにしても一つ気になることがあるんだ」


「どうしてさっきのスキル測定の時お前たち2人の時だけ水晶が壊れたんだ?」


「そんなの知らねえよ、ただこの学院で使ってる水晶が脆い古いやつだったんじゃねぇのか」


「いやおそらくそれはない」


「こういう学園で使われているスキル測定をするための水晶はどこのやつも同じやつを使っていて一度も壊れたことはないって話しだ」


「ちょっとお前たちのことについて調べさせて欲しいんだがいいか?」


「いいわけないだろう!」


「そうかそれならまあいい、無能なお前らを力ずくで言うことを聞かせるのなんて簡単だからな」


「さっきお前俺たちは気配が薄いって言ってたよな、でもそんな気配が薄い俺たちを見つけられるって事はお前も実は無能なんじゃないのか」


「なんだと!」


「ちょっとかずくん!」


「だってそうだろう本当に強さに自信があるんだったら昼休みの時間まで後ろに5人も連れて歩かないはずだ」


「それじゃあその女しか連れて歩いてないお前は俺より強いっていうのか?」


「いや俺たちはただ一緒に弁当を食べてただけだ」


「葵お前は先に自分の教室に戻ってろ!」


「でも!」


「大丈夫だこんなやつらすぐに片付く!」


「分かった」


「おい俺たちを1人で相手にするっていうのかそれはさすがにかっこつけすぎじゃねぇか!」


「大丈夫さそんなに心配してもらわなくてもきっちり片付けてやるから」


本気で俺たちのことを調べようとしてるのかは分からないが、もし本当に俺たちのことを調べようとしてるんだとしたら、 ただの学生にそんな研究ができるとは思えない。


となると裏の組織の誰かと繋がっている?


そんなことを考えてても仕方がないとりあえずこいつらを今倒して2度と攻撃をしてこないように教育してやらないとな。


「1回1回倒すのも面倒だ一気にかかってこい拳で相手をしてやる!」


「お前ら全員でそいつを倒せ!」


「舐めくさりやがって!」


5人の取り巻きたちが武器を構え一斉に俺に襲いかかってくる。


そいつらの攻撃を全て避けて一発ずつ確実にそいつらの急所にこぶしを入れていく。


「なんだこいつ強すぎる!」


「何なんだお前はこいつらに何をした!」


「何をしたかってそいつらが襲い掛かってきたから殴って倒しただけだ」


「さて残るはお前だどうするここで引き返したらこいつら合わせて見逃してやるぞ!」


「ふざけるな逃げるわけないだろう!」


言いながら剣を構える。


俺も腰に刺していた剣を抜く。



「でもいいのかな俺を倒したらもう1人の仲間の敵の場所がわかんなくなるぞ!」


「どういうことだ?」


「言葉の通りだ俺の仲間はもう1人いる」


「もしかしたらお前が逃がしたあいつはもう捕まってるかもしれねえな」


体の奥底から怒りがこみ上げ剣を握る手が震える。


雷のような音が聞こえる。


「何なんだよお前その色の目!」


「もしかしてそれ呪いの!」


「うあああーーー!!!」


「ひーい!」


怒りの声を上げたところで俺の意識は途絶える。



ダメだこのままじゃ呪いの力に意識を持ってかれる!


どうにかしねえとどうにか!


呪いの力が暴走したら周りの人間を巻き込むことになっちまう!


それだけじゃなく最悪の場合葵が呪いの力を持ってることもばれる可能性がある!


とにかく心を落ち着かせようとしていると誰かに抱きしめられているような感覚を感じる。


「大…」


どこかから小さな声が聞こえてくる。


どこかで聞いたことがあるような優しい声…。



「大丈夫」


「……」

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