【タケノコ物語】第六幕
ストーカーの三人目は、右大臣ね。
阿部御主人には、中国(唐)の火鼠の皮衣をもってくるようにいったわね。
豊かな財産をもつ一族で中国の王慶と仲良しで、運送業で栄えた一族ね。
いまも「阿部一族」とか耳にしないかしら?
そんな彼は、早速貿易船で「火鼠の皮衣という物を購入して送ってほしい」と手紙を書いたわ。
小野房守という使いを出し唐に派遣をだしたわ。
唐について会議が開かれ、お金と手紙を読んだわ。
けど中国の唐に「火鼠の皮衣などないし、聞いたことも見たこともないと言われて貿易できない」と言ったわ。
もしかしたら、インドにあるかもしれない。知り合いがいるから当たって探してみます。
見つからなかったら、お金はお返しします。
と、口約束していたわ。
小野房守は帰国して、阿部御主人に一報を伝えたわ。
小野房守が帰国して、七日後に王慶からの手紙と皮衣が届いたわ。
手紙には、
「火鼠の皮衣は人に探してもらい、手に入れることができました。しかし、とても簡単ではありませんでした。インドの偉大なる聖人が西方の山寺にあると言い、インド政府とも話し合いなんとか買い取ることができました。しかし、私の代金では不足していました。代金を支払いできないのであれば、火鼠の皮衣を返してください」
と、書いてあった。
「火鼠の皮衣のためなら、安い買い物。それにしても嬉しい。よくぞ、見つけて送ってくださった」と、感謝の念を王慶に送っていたわ。
さっそく、中身を確認するとたくさんの宝石を使ってつくられた皮衣だったわ。とても、美しかったわ。
「私が欲しがる最高の物であり、ありがたいことだ」と大臣は言っていたわね。
それを箱の中に入れ、木の枝と結びつけて贈り物をし箱も造作して「結婚し、そのまま私と暮らす」と思って歌を詠んでいたわ。
「あなたの燃え上がる愛情でもこの火鼠の皮衣は燃えないだろう。これを手に入れ恋の涙に濡れていた私の心もようやく乾きます。気持ちよく濡れていない衣服を着られます」
というものだった。
まったく、こっちの気持ちは考えないポエムの歌ばかりね。
どうして、自分のみの好きに執着するのかしらね。
で、大臣が屋敷に来て、火鼠の皮衣を持ってお爺さんが受け取り私に見せてくれたわ。
私は「美しい皮衣ですが、これが火鼠の皮衣だと確認するすべがないわ」と、お爺さんに言ったのよ。
「とても美しく、こんな皮衣をみたことがない。本物ではないでしょうか。とりあえず、大臣を呼びましょう。大臣が乾いた衣服をきれるかもしれません」と、言って大臣をよんだわ。
おばあさんも「こんどこそは、結婚すると思ったみたいね」結婚を拒んでいるから独り身の私を可哀想に思ってたのね。
宇宙人だって悟られだしていたし、強引に結婚を強制することもなかったわ。
「これで、結婚も決まる」と喜んでいたわね。
けど、皮衣が燃えない技術はまだ人類は持ち合わせていなかったでしょ。
だからこういったの。
「火鼠の皮衣を火で焼いてみて、燃えなければ求婚に応じます」ってね。
いまやったら、燃えない素材があるからできないわね。
お爺さんも賛同して試してみるために大臣に伝えたわ。
大臣は「この火鼠の皮衣は唐にとどまらず他国にまで探してもらった品だ。何の疑いがあるのか。こちらも自信がある。早く燃やせ」
だから、燃やしたわ。すると、めらめら燃えるわね。
わたしは「こうも燃えては偽物ですね」と言って大臣の様子をみたわ。
真っ青になって座っていたわ。
大臣は、こう言っていたわ。
「このように燃えると知っていたら、あなたが着ている姿を見たかったな〜」ってね。
私は嬉しかったわ。だからニヤついてしまったわね。
可愛いや綺麗と言われるのは、好きだもの。
執着せず、自立してほしいの。だから、断ったわ。
世間の人々は、私が嬉しそうに過ごしていたから「大臣と私が結婚したのか、していないのか」わからなかったみたいね。
「あべこべ」だったようね。
失恋した大臣を見て察っしたみたい。目的をなくして落胆することを「あべなし」と言うようになったわね。
【タケノコ物語】徒然なるかぐや姫 @ashika9999
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