【タケノコ物語】第四幕

立ち去った5人のストーカーだったけど、やっぱり執着がすごかったのよ。

彼らは「私がいなければ幸福と思えない」気持ちになったのね。

石作の皇子は、「仏の御石の鉢を」どうやって手に入れるか考えていたわ。

「2つとしてない鉢で、とっても遠くの地にある」と思っていたわ。

家にいても見つからないから外に出かけてたわ。

3年間探し回って、大和国の山寺で真っ黒い墨がついた鉢を手に入れ、鉢に花をそえて私のところに持ってきたわ。

鉢に手紙がついていたの。

その内容は、

『海や山を超え、苦労して涙まで流す修行をし、天竺までいき石鉢を手に入れました』

と書いてあったわ。


けど、石鉢であり仏の御石の鉢ではなかったわ。

仏の御石の光沢のある美しさがなかったの。

もし、仏の御石の鉢ならこの地球の人たちに、心を照らしてくれるはずよ。

「いったい、彼は何を3年間かけて探していたのだろう?」と思ってね。


その鉢は、丁重に返したわ。

私の目的は、その人の成長なのよ。

なのに、彼はまた歌を読みながら帰っていた。


『あの鉢よりあなたの方が輝いているため、光を失ったのだと思います。

光を失ったため、鉢は捨てることにしました。

私の恥と鉢を捨ててでも、貴方と結婚したいです』ってね。


私は、彼自身の成長を見守りたいから、返答はしなかったわ。

結婚したい、恥の鉢がまだ残っているのだからね。



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