第4話 かぐや姫の仲間たちと童話

かぐや姫は、月からお迎えにきたことになっています。

しかし、かぐや姫を迎えに来たのは誰なのでしょう?

そう、それはかぐや姫のお友達です。

悟空ちゃんは一度タケノコパーティーをしてご紹介しました。

他には一体どんな友だちがいるのでしょう。

きょうは、かぐや姫のタケノコパーティの一部始終をみてみましょう。



この日のパーティーには、5人いました。

・タケノコ大好きなかぐや姫

・バナナ大好きな孫悟空

・桃が大好きな桃太郎

・亀が大好きな乙姫

・糸を織るのが大好きな鶴姫

どいつもこいつも、クセが強い童話の中の人物ですが、どいつもこいつも、宇宙船にのってあっちへ「ヒョヒョイのヒョイ」こっちに「ヒョヒョイのヒョイ」と移動してしまいます。

孫悟空さんは、觔斗雲という宇宙船であっちに「ヒョヒョイのヒョイ」

桃太郎は、桃の宇宙船に乗って「ヒョヒョイのヒョイ」

亀が大好きな乙姫は、亀の宇宙船に乗って「ヒョヒョイのヒョイ」

糸を織るのが大好きな鶴姫は、鶴の宇宙船に乗って「ヒョヒョイのヒョイ」

他にも、かぐや姫には多くの友達がいます。

アラジンくん、きんたろうくん、ゆきおんなちゃん、あまのはごろもちゃん。

個性あふれる仲間たちは、いつも人間とは少し距離を置いています。

それもそのはず、わたしたちをいつも悪者にしようとするからです。

「まったく、ちょっとタケノコの刺身を食べたくらいで減るものでもないというのに」

と、話しています。

そして「こういう童話があったら面白いのではないか?」と、5人で童話をつくることにしました。

5人の童話の良いところだけを引っ張ったお話です。

玉手箱をみた浦島太郎は、年をとるわけですが、亀を助けたことはとても立派です。

かぐや姫に出てくるおじいさんも、金と色気に目を向けたけど、タケノコの刺身を出してくれたところは立派です。

そう、このいいところどりした話にすれば、それはなんとも平和な童話が完成するのではないでしょうか。

ということで、さっそく5人で話し合って出来上がりました。


むかし、むかし

亀を助けてもらい、鶴を助けてもらい、桃を拾い助けてもらい、竹を切って助けてもらいました。

4人の子供が出てきて、おじいさんやおばあさんが育ててくれました。

おじいさんやおばあさん、育ててくれてありがとう。

あと、きびだんごとタケノコの刺身と、毎日のご飯をありがとう。

僕たち、私たちは、この地球を救うために、鬼退治をして、糸を織り、おじいちゃんとおばあちゃんを笑顔にします。

こうして、地球も平和にわたしたちを友達になりました。

おじいちゃんもおばあちゃんも、宇宙船に乗ってあちらこちらの星へ遊びに行けるようになりました。

めでたし、めでたし。



と、まとまったはずでした。しかし、悟空さんが「キーキー」と言いました。

「おれだけ登場していないから、やっぱりこの童話はなし」

こうして、この童話は、お蔵入りしました。

めでたし。めでたし。

著者の心声(めでたしかな?)

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