第2話 おじいちゃんとおばあちゃんとの別れ

不思議なもので、おじいちゃんはかぐや姫に対してお触りはしませんでした。

おばあちゃんもかぐや姫には、とてもとても平穏な日々が流れました。

おじいちゃんとおばあちゃんの喧嘩はなくなりました。

かぐや姫のおかげで、おじいちゃんとおばあちゃんの仲の良さが育ちました。

そんな生活が続いていたのですが、おじいちゃんは大量の金塊を持ち大金持ちになって、キャバクラや風俗と遊びました。財源に不思議がり、多くの若者がおじいさんをモニタリングしました。

すると、おじいちゃんのお家に美しき娘がいるではありませんか。

噂が噂をよび、その美貌はいまもこうして「かぐや姫」として伝わってしまいました。

当然、発情期の起業家や資産家、スポーツ選手がほっとくわけがありません。

美しき娘に求婚するようになりました。

おじいさんは「ワシがかぐや姫と結婚するんじゃ。どっかへ行け」と、突き返しました。

おばあさんは、その様子を見てかぐや姫に問いました。

「かぐや姫やそなたが結婚したかったら、してもええんじゃよ。その代わり、豪華な宝物を持ってきたものに限るのが条件じゃがな」と言いました。「私は、そんな、そんなタケノコの刺し身が食べられれば満足です」と、言っていました。

しかし一度噂になったら、あとがたたないのが世の常。

次から次へ、豪華な宝物を若者がもってきます。

豪華というのは、人によって違います。

膨大なクルーズ船に、イケメンを数人乗っけたジェット機、自分の強さをアピールするためのスポーツ観戦VIP席と、それは、それは、人それぞれ、バラバラです。

かぐや姫にとっては、どれも不思議にみえて仕方がありませんでした。

「なぜ、タケノコの刺し身をみんなくれないの?」と、疑問に思いました。

そして、あるとき「タケノコの刺身」が食べられなくなりました。

そう、タケノコの刺身は6月をすぎると食べられなくなるのです。

かぐや姫は「どうして?タケノコの刺身がたべれないの?」と夜空を向いて物思いにふけるようになりました。

「タケノコの刺身が、食べられないなら私はタケノコのある星にいきます。おじいさんとおばあさんにはこれだけ親切にタケノコを毎日切ってくださったので、どうか最後にお礼だけ申し上げます」

「そんな馬鹿な」とおじいさんは戸惑いました。

なんとしてでも、行かせないためにおじいさんは山にあった金塊を全部使って、かぐや姫をこの地球に留めるよう作戦を練りました。

戦車やバズーカー、軍隊までが駆けつける大騒動になりました。

しかし、その夜「タケノコの刺身」が、食卓に並ぶことはありませんでした。

「お別れです。おじいさん、おばあさん。いままで本当に、最高のタケノコの刺身をありがとう。どうかいつまでもタケノコの刺身を食べられるよう研究してください。お元気で」と言い、空高く山の方から宇宙船がやってきてベールに包まれ、満面の笑みで宇宙船に乗っていくではありませんか。

よくよくみると、なんとそのベールの最中にタケノコの刺身を食べているではありませんか。

そんなタケノコの刺身を食べながら、天に向かっていきました。

おじいさんは、あんな宇宙船にかぐや姫を連れて行かれるくらいなら、やっつけてしまえと言い、ミサイルを「発射」させようとしました。しかし、戦車やバズーカー、軍隊、宇宙開発と名乗った組織などは、まったく意味をなさず身動きができませんでした。おじいちゃんは、全財産であった金塊を失いました。

宇宙船に着いた、かぐや姫は「人間は、タケノコの刺身よりも戦争が好きみたいねう〜ん。それにしてもタケノコの刺身は、最高ね。もう一度タケノコパーティがしたいわ」と言って、いまもタケノコの刺身を食べています。

おじいさんは、慌てて竹林に向かいました。金塊は当然なく、円盤型の硬い物質もなくなっていました。

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