第92話 草むしり

起きたら9時。 寝坊した..

今日こそ出ようと思ってたのに。

後でアパートの人に会って 気まずい思いを我慢するか、それとも 遅れてノコノコ出て行くか。

1分位迷った後、ノコノコを選択。

歯だけ磨いて外に出た。

もうみんな散り散りに作業を始めている。

会長さんが1人、離れた場所で草をむしっていたので「寝坊しちゃって、スミマセン」と声をかける。

「いた」と言う事を認識してもらえれば

第一ノルマは達成だ。

「さっきひと悶着あったのよ~ 除草剤撒いた人がいたみたいで」と会長さんが教えてくれた。

「除草剤は嫌ですね~」

「そう、子供とか猫とか心配よねぇ」

蔦的な植物を嫌っている人がいるのだが、

勝手に除草剤を撒かれたのでは、どんな除草剤なのかがわからないから、その後に野菜を植えるわけにも行かない。しかも乾いて硬くなった蔦をゴミ袋に詰めるのがもう、大変で。

撒くだけ撒いて、後片づけは他人にやらせよう 

と言う意図が見えて、みんなをウンザリさせる。

とは言え、遅れて来た私は 仕事が残っていた事に

少しホッとする。

自由で緩い、ここのアパートの草むしりでは

各々 自分がやりたい部分のみ頑張り

好きなタイミングで帰って行く。

顔を合わせて話をして、少し仕事もして

良い加減で切り上げる。『それで良い。それが良い』って事を、みんなが心得ている。

知的で穏やかな人が多い。平和だ。

恵まれた場所にいる有り難みを また今日も感じた。

ノコノコ行ってみて 良かった。

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