第81話 花火
あの時、本当はどうすれば良かったのか
ちゃんと検証せずに 見ない様にして
蓋をしているから、反省が出来ていないから
私は前に進めないでいるのかな
長女が5才、年長さんの時の夏。次女は4才。
みんなで7月の終わりに熊本に行った。
私は声が出なくなってしまい、テレオペの仕事を辞める事になっていた。8/1を最終日にしてしまっていたので、私だけ先に飛行機で帰って来た。
その頃、夫は失業していた。彼には急いで戻る理由がなかった。子供と離れて日が経つにつれて、仕事もない私は段々おかしくなって行った。
ご飯を食べる気がなくなり、15時位になって手が震え出すと、漸く何かを義務的に食べる みたいな事を繰り返していた。夫と子供たちは、8月末まで帰って来なかった。あの時、色々な事が壊れてしまった。
「自分は子供と離れていたらダメだ」と気付いた時に、思い切って飛行機に乗って熊本に戻るべきだった。「必要とされていない」って事に拘っていたのは下らない事だった。『自分にとってどうしても必要』って事をこそ、大事にしなければいけなかったのに。
夫が「今みんなで花火を見てるんだよ」と
電話をくれた。
あの時の花火を一緒に見られなかった事を
私はずっと悔やんでいる。
あの時、ほんの少しの勇気と決断力を持っていたら
幸せは私の手からこぼれて行かなかったんじゃないかって いずれ同じ様に失ったにしても、一緒に花火を見た思い出に慰められたんじゃないかって
孤立無援で ダメな自分に負けてしまったあの時の事を ずっと後悔している。
いつか、取り返そう。
大好きな子供たちや孫たちと、大きな花火が見られる時が巡って来るかもしれない。
高々6万円の飛行機代に躊躇して 大切すぎる物を
ミスしてしまった、若くて情けなかった自分に
いつか さよならがしたい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます