第6話

「お〜〜。本当に俺にそっくりになったな〜〜」

「……そう? コレで本当にバレない?」


 兵士は少し恥ずかしそうに、首の後ろをポリポリ掻いた。

 キレイな金髪は黒染めスプレーで染めて、薄茶色い目はカラコンで隠すことにした。

 筋肉質なせいか、いつもの俺のサイズのスーツだと、上半身がパツパツになってしまったので、新しくトムフォードのブルーのスーツを買ってやった。兵士の若々しくて、可愛い雰囲気によくあっていると思う。


 「完璧だよ。もうすぐ例のお嬢様がくるからな。頼むぜ〜」

 「なんか怖くなってきた〜〜」

 「キミがやりたいって言ったんだろ〜?」


 俺は兵士の肩を優しくポンポンした。


「大丈夫! 相手の天野さんはすげーちゃんとした人だからさ。リードさせておけば問題無いって」

「だったらお兄さんが自分でやればいいじゃん」

「マジで苦手なんだよ、こういうの……キミに助けてもらった時も、お見合いの後だったし」

「ストレス発散の為に酔い潰れてたってこと? ……てかさ」

「なに?」


 兵士がまた、いつもの膨れた顔をする。


「キミって呼ぶのやめない? 兵士って呼んで?」

「いいけど……兵士くん?」

「兵士でいい。」

「じゃあ、俺のことも名前で呼んだら?」

「いいの!?」

「うん。」

「ゆーすけ!」

「そこは、裕介さんだろ!6つも歳上なんだから。」

「えー……いいじゃん別に〜。」

「まあ、いいか。じゃ、裕介でいいよ。」

「っしゃー。 お、もう19時じゃん。

 行かないとだな」


 兵士が、貸してやったロレックスの時計を見て、片手を突き上げて言った。

 

 「兵士と裕介のお見合い大作戦開始!」

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