第39話 問題提起が主題ならドキュメンタリーを書けばいい

 この話、ヘタなことをするとゴリゴリの社会派になって、くそつまんない作品になるなぁとか思いながら設定を詰めていました。「社会の闇ガー」とか、「腐敗したナンチャラガー」とか、そういうのを娯楽で楽しみたい人というのは少数派だと思います。ましてや何百ページという紙面をソレ中心で読まされるのはちょっと……


 何より、たかだか一週間だか一年だかしか調べていないような問題を、論文なみに紙面を割いて書けるわけなんかありませんから、サブテーマ程度の扱いが限界だと思うのですね。読ませるだけのモノに仕上げようと思えば、もっと徹底調査が必要です。ドキュメンタリー作家ナメんな、という話で。


 なので、主題は恋愛の方、あるいは男女お互いの拗くれた感情が織りなす恋模様というか、人生観、感情曲線を辿った方が書く方としても楽しかろうと思います。


 社会運動がどういう歴史の経緯で発展して歪んでいって、利用価値を見いだされ、どういう問題が生じたか、またそれを先人がどのように予見し警告していたのか、とかの話はあんまり楽しくないです。


 だけどその一連の流れはそのまんま、一人の人間の心の有り様に色濃く影響を与えているので、その作用を書くことで、上記の事柄と恋模様と、ダブルで面白みに繋げることも可能かなと思うんですね。


 元から面倒臭い上記の社会問題のテーマは、それをも楽しむかどうかは読者が決めたらヨロシイようなモンなので、とりあえず乗っけておくけどメインじゃないの、という状態でいいと思うのです。メインは幅広く多くの読者が楽しめるであろう恋愛のすったもんだだ、ということで。




 何を書こうと思っているのか、これを常にしっかり持っていないと作品がフラフラしてあんまり良くない結果に繋がると思います。(経験談)

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