【実用】小説の書き方についてあれこれ考える -改訂版-

第33話 「中心人物の履歴書」を最初に用意する

　ではいよいよ……、いよいよ、本当に、寄り道ナシでの「履歴書」に話題を振り向けたいと思います！　寄り道長かった……。

「想定読者」と「トレンド」の理解を押さえたら、三種の神器「状況・人物・事件」はざっくりと一行メモが書けると思います。

『自分をヘンだと思ってる主人公の生きづらい日々（自称）』という具合。

　あくまで一般文芸の公募でよくある「完結が約束された１８万文字程度の中編」です、悪しからず。だいぶ幅があって１２万～２２万くらいまでバラバラですが。目安でね、目安。

　目安と言えば、最近は一般向けの公募でもラノベ寄りになった「キャラ文芸」とかのジャンルが出てきているので、なおさら一般文芸で勝負となったらラノベとの線引きは重要だと思われます。そっちの賞へ出せという意味で、カテエラが増えたってことですからねぇ…

　ライト文芸・キャラ文芸と、一般文芸との線引きは人物造形だと思います。「リアリティレベルが現実から逃げていないこと」辺りがそのボーダーかな、と。要するに「こんなヤツァ、おらん。」と言われてしまうようなキャラだとアウト。

　文学と一般文芸は「人間を書く」という部分は共通なので、キャラ造形は文学を書くつもりでいてもいいと思います。ラノベのキャラで書きたい方はライト文芸とかキャラ文芸が新設されたのでそちらへどうぞ、という感じですかね、これ。

　なので、履歴書が非常に重要になります。文学と一般文芸。

　これはもう鈴木先生が出して下さってるんで、そっち読め、という感じなんですけどね～。とりあえず独学で頑張ってみたいと思います。

　まずは中心人物からですよね、ホームズ譚だとワトソンとホームズ、どっちが先になるのか、とかつい厳密なトコ考えちゃいますが、これは書きやすいと思った方からでいいのですかねぇ。

　で、先に上げた一行メモをね、まず分解しとこうかなと。

『自分をヘンだと思ってる主人公の生きづらい日々（自称）』

　これ、三種の神器入ってないと思われたかもですが、自分用のメモなんで端折った部分なんか自分で解るでしょ、というワケです。ちなみに、このメモの中には、

「状況：オサレタウン巣鴨の洋装店

　人物：ネガティブシンキングが止まらない系女子

　事件：ガチのオサレ系列ホテル進出の噂と立ち退き問題。」

　というワードを入れておきました。三種合わせたキーワードが『自分をヘンだと思ってる主人公の生きづらい日々（自称）』です。悪魔合体。

　で、このマテリアルを踏まえて、このネガティブ女子の履歴書を作っていくということですよね。鈴木先生の動画で、マニュアル的に欄を埋めたような履歴書じゃなくて、ちゃんとその人の人生が見えるように書こうね、と仰ってたんでそうします。

　履歴書（厚生労働省バージョン）の記載項目

　◆（写真を貼る位置）

　◆氏名・生年月日・性別

　◆現住所・連絡先（現住所以外に連絡を希望する場合のみ記入）・電話番号

　◆学歴・職歴

　◆免許・資格

　◆志望の動機・特技・自己PR・アピールポイントなど

　◆本人希望記入欄（特に給料・職種・勤務時間・勤務地・その他についての希望）

　JIS規格だとさらに追加

　◆通勤時間

　◆扶養家族数（配偶者を除く）

　◆配偶者

　◆配偶者の扶養義務

　名前のところ、名前は親が名付けるので親の性質が垣間見える箇所、と意識して付けた方がいいらしいです。誕生日と性別はあまりそういう影響のない部分。

　現住所は本人の意志が色濃く影響したことを踏まえておく、出生地は親の影響。

　学歴、小学校までは親の意向ですが中学辺りからは本人の意志が働くケースが出てきます。職歴や資格などもすべてそういう具合で背景を考えながら決めるべきだ、と鈴木先生の動画で教えられました。

　何年か前にメフィスト賞に送っていたんですが、このようなイロハはまったく気付かないまま思えば行き当たりばったりで書き散らしてたなぁ、という感慨。（笑