第22話 海獣「K-1」

惑星ほしに神が舞い降りた。


永き航海…その末に…


神はその惑星で安らかな眠りにつきました。


数十年…数百年…、冷たい惑星の表面で

すっかり体は凍え…雨に晒された外殻は

ボロボロに剥がされてしまいました。


神は冷えた体を温め…

体をより強くしようと資源を奪い、

惑星の怒りを買いました。



自熱では無い高熱に違和感を覚えた惑星が、

神の存在に気づいたのです。


惑星は驚きました。


不思議なソレは生命なのかと?


それは興味と恐怖…そして体内に巣食う

怒り…、

惑星は他の星に危害が及ばぬよう…

自らが収めようと神を己の子にしようと

しました。


それに気づいた神は、治りきらない体のまま

一目散に逃げようと飛び去りました。


しかし、外殻が剥がれた場所に雨が当たり

心臓が抜け落ちてしまったのです。


骸になった神はそのまま星海に流され

青き星に降り立ちました。


-----------------------------


地球に病が降りました。


生命の元が絶たれ…多くの生命が死にました。


そして神も…、


神は病で死にました。


神‪”‬は‪”‬病で死にました。



‪”‬神‪”‬は地球にとって

降る病み…


生命にとっては

降る闇でした。

︎︎

地球ほしは生命の死を許しません。


病原を殺菌すべく早急な対応をとる事に…

そして誕生したのが「人間」でした。


人間ヒトやまいを殺したのです。


私たちは神を殺しました。


私たちは病に打ち勝ちました。


それは私達の地球ほしが心から

願ったから…、


私たちは強く逞しく生きなければなりません。


それが星の願いだから…。


現在きょうを生きる事で未来あすを、


未来あすの先に、星に祝福がある事を

祈って…。


-----------------------------


クロネ「と言うお話しでした…」



拓海「その話し…クロネ?シオン?」



クロネコ「うんうん、私達…語り部に

なった事なんて無いわ」


「星詠の魂を持つ星使者がいたの」



拓海「んー…だから神話として人が

認知できてると…」



クロネ「そう…人類史の最初の歴史にして

唯一神話として語られる物語…」


拓海「唯一の神が地球産の神様じゃない…」



クロネ「どこの子何だろう…」



拓海「知って変わる訳じゃないけど…

分からない物なんだ」



クロネ「んー太陽系の外のことは…んー

方角と海王星の証言的にはミラ星辺りから

来たのかな〜って」



拓海「ミラ星…?」



クロネ「くじら座にある恒星の名前」



拓海「へぇー、神話の惑星って…海王星の事

だったんだ……海王星ねぇー…」


クロネ「うん…海王星…」



拓海「死ぬよね…生命…いや心臓無いから

死んでるのか…」


クロネ「骸なのに暴れられちゃったけれど」


拓海「えー…ナゼ動ける…の〜…」



クロネ「機械生命体だから成せる

御業と言うか…臓器がそれぞれ別の働きも

こなせるよう作られてるかな…」


「それか心臓部が循環路と繋がってない

仕組みか…心臓が二つ以上あるか…」


「或いはただの機械で…中に生命体がいるか…

生体反応は感知できるのに…とても生命のソレ

とは思えない丈夫さ…不思議よね」



拓海「損傷が多ければ流石に死ぬよねソレ」



クロネ「そうね…出来ればの話しなんだけど」


「何せダイヤモンドより硬くて、

衝撃と熱にも強いんですもの…」



拓海「あー無理だ…、」



クロネ「海王星って、ずっとダイヤモンドの

雨が降ってるんだけど…三百年…雨に

晒されて…」



拓海「外殻が剥がれただけ…無理無理、

規模感がもう掴めな過ぎる」


「その化け物よく鎮められたね…」


クロネ「は最強無敵の

完璧 地球人ですから…」



拓海「かさりん…陸地を吹き飛ばす

ヤバい子…」



クロネ「そう…地球ほしが五割も

リソースを割いて作った全生命の偶像…

皆のアイドルとも言える存在…。」



拓海「ファンなの…?」



クロネ「生命の憧れですもの…強い女の子、

好きでしょ?」



拓海「好きだよ。強い女と顔の良い男は

健康に良いって人類史が始まってから

言われ続けてる」



クロネ「そうでしょ?実際かさりんが

いなかったら星は終わってたから」



拓海「かさりん…どうやって止めたのよ」



クロネ「最初の160年くらいはひたすら

力押しして…200年頃に

機体の損傷がたったの1%だった事に

破壊を諦めて…後の2000年は力尽きるまで

拘束してたかな」



拓海「想像できないな…」



クロネ「…想像力が足りないよ」



拓海「ヒガ…?!俺はそんな凄い子が

殺れなかった怪獣さんを一人で…?」



クロネ「私とシオンも手を貸すけど…

魔物の討伐さえ手助けになるかどうか…」



拓海「魔物の討伐……獣の破片を取り込んで

適応した魔物…ひょっとしてさ…」



クロネ「私とシオン…生まれて初めて本気を

出すかも…って言うくらいには

緊急事態なんです」



拓海「そうだよね…適応って何よって

話しだけど…要は化け物が量産されたって

事よね」



クロネ「適応…と言うより遺伝子を支配

されてるって言った方が正しいかな……。」


「本体ほど強力じゃ無いでしょう

けど、駆除しないと

かさりんが目覚めちゃう」



拓海「かさりん の役目は、異星の侵略者を

退けるとかそんな感じなんだね」



クロネ「例えるならキラーT細胞…かな」



拓海「分かりやすい」



クロネ「ウイルスバスター拓海として

頑張りましょう。」



拓海「嫌だ…横文字だと…何か…」



クロネ「なら掃討ノ星使者とか…?」


「かさりんのお株と言うか、肩書きを

奪ってしまうけど…」



拓海「なら…俺が究極アイドルになるから

その肩書き下さい。」



クロネ「ふふっ…肩書きって自主性の物

じゃないでしょ…」



拓海「そうだけど…自分の好きな呼ばれ方が

あるじゃない」



クロネ「そうね、名前で呼ばれるの

が苦手…とかね」



拓海「…あー…そういう事…?」




クロネ「えぇそういう事です…」




拓海「お見逸れしました…

でもクロネは…良いよ…」



クロネ「そ…そう…なら…そのうち…」




「………」


「……………」


「……………」



拓海「それにしてもさ…」



クロネ「うん…」


「本当かも分からないのに…使命だ役目だ

なんて言って、面倒事を押し付けられて…

困っちゃう?」



拓海「困る…やることも多いし…クロネに

焚き付けられてなきゃ拒否し続けてた…」



クロネ「ごめんなさい…星はどうしても貴方が

良いみたいで…英雄になって欲しいって

言うのは私のエゴ…だけど……、」



拓海「一週間も経ってないのに…

明かされる情報が多過ぎて…何が何だか…」



クロネ「冒頭に詰め込みすぎよね…

でも何処かの誰かさんが敏いうえに、

割り切った考えをしてるから事が運んで

しまって、こうなるんですよ?」



拓海「それは…うん…」



クロネ「なんて…そうなる運命に在ったん

ですから…仕方ないですけど…」



拓海「ケモノ退治、頑張るか…」



クロネ「修行…付き合うよ」



拓海「よろしく」



こうして目的は、英雄になること…から

三妖精の救出...、そして獣の討伐へと変わり、

獣と、その眷属に中る魔物に対抗する

手段を手に入れるため…


地味で…、しかし過酷な…反則とも呼べる力を

手に入れる修行が始まった。

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